最後の晩餐、なにを食べる?
その「最後」はどんなふうに訪れる?
絶対にコントロールできないはずの願望を、15人の作家が具体的に突き詰めていくと、そこには作家の個性があふれ出ていて、どれも本当におもしろい。
そして「死ぬ前」なんて重いテーマに反して、絵がほんわかしていて可愛いんだ~!!
オカヤイヅミさんの「おあとがよろしいようで」
登場する作家は、綿矢りさ・戌井昭人・山崎ナオコーラ・津村記久子・円城塔・西加奈子・平山夢明・桜庭一樹・朝井リョウ・辛酸なめ子・村田沙耶香・加藤千恵・朝吹真理子・春日太一・島田雅彦。
私は「死ぬ前に何を食べたいか」と考えたら、弱って死ぬとかじゃなくて、人類滅亡とか地球滅亡を思い浮かべる。
死ぬタイミングの予測ができて、好きなものを食べられる健康な体があって。
だって病気で死ぬって設定だと、選択肢が狭まってしまうから。
たぶん、人類滅亡の前日だったら、何よりも家族と過ごすんだろうな~。
となると、最後の晩餐はお好み焼きが一番いいかな。
豆腐とだしを入れて、焼きそばをしいて、家族みんなで作るの。
お母さんが材料を準備して、お父さんが焼いてひっくり返すタイミングで、私と妹が鉄板に卵を落として黄身をプツッと割るの。
食べたいというか、最後の儀式としてはぴったりな気がする。
食欲だけで言ったら、からあげをひたすら食べたい!笑
太っちゃう~とかいう罪悪感はもう必要ないわけだから、近所のコンビニのチキンから、トリキもからあげ専門店も全部はしごして、リミッター完全解除でからあげを食べてみたいな!
読んでるときはじっくりと作家のみなさんの考えを味わっていたけど、自分のことを考えてみるとこんな感じです。
▼ここからネタバレを含む感想です!▼
綿矢りささんの、「すごく新しいことが自分が死んだ十年後くらいに生まれたりするとくやしい(から長生きしたい)」というのは、今まで考えたことがなかったけど、言われてみれば確かにそうだよなあ。
だって、もし10年前に死んでたとしたら、Twitterを知らなかったし、内君の数々の舞台も見られなかったし(しかもこの時期の10年前ならギリ復帰も間に合ってない)、大学以降に旅行した海外にだっていけてないし、スマホも持ってない。
長生きすればするだけ、おもしろいこと・新しいことの目撃者になれるんだなって。
考えてみれば、当たり前なんだけど。
山崎ナオコーラさんの「『あきらめる』の語源は『あきらかにする』」という一言も印象的。
ネガティブなイメージの言葉だけど、そう考えると明るくなれるような。
必要なものとか、必要じゃないもの、どうにもできないものをあきらかにして選択する言葉だと思うと、悪くない。
作家さんの話を聞きながら「〇〇な人だなぁ」と分析するオカヤイヅミさんの心の声もイイの!
作家さんの小説は読んだことがあっても人柄までは知らないので、「こういう人があれを書いたのか~」と感じられるのがおもしろい。
津村記久子さんの、まい泉のロースかつ膳がめっちゃおいしそう!!
調べてみたら、いいお値段した…!
けど、絶対に食べたい!食べる!
いつ死ぬかわからんから、早く食べないとあかん。
そして謎の食べ物「ちくわぶ」の登場。
関西人は馴染みのない食べ物らしい。
辛酸なめ子さんの「平均四年半で生まれ変わるらしい」というのも、へ~っ!てなる。
おもしろいね。
意外と早いから、ジャニヲタは生まれ変わってもまた自担を好きになったりしてね。
中国の考え方だと、死んだあとにあの世で出されるスープを飲むと前世の記憶がなくなるらしい。
飲んじゃいそ~!
だって「あの世の名産スープ」なんて、味が気になるでしょう…
村田沙耶香さんの、「滅亡を見てみたい」というのも、考えたことはなかったけど、「わかる~~!!!」ってなりました。
そこについてる「わあ滅亡ってはじめてみるー!!」のイラストが、能天気でかわいいの!笑
確かに滅亡なんてなかなか見られるもんじゃないから、どうせ死ぬなら見届けて面白がるのもアリかな。
他にもたくさん面白い話やおいしそうなご飯があったんだけど、ノベライズかよってくらい全部書いてしまいそう。
それくらい、全部おもしろい!
特別な食べ物を食べたい人もいるし、普段食べているものがいいという人もいて、すべてに「確かにそうだなぁ」と思う。
そして多くの作家さんが「死ぬまで何かを書いていたい」というのがとても印象的。
本当にみなさん、作家という仕事を愛しているんだなって。
そんなに愛せる仕事を見つけられていることが羨ましい。
マンガなのに読み応えがあって、いろんな作家さんの考えを知られて、読み終わったあとにとても満足感のある本でした。
ご飯系マンガが好きな人も、気になる作家さんが出てるって人も、読んでみてほしい。
続編も出してほしいなあ~!
漫画家さんの考えも見てみたいです。
おあとがよろしいようで [ オカヤ イヅミ ]
|