これは厄介だっていう説もあるけど

すきなものについて雑多に語るブログです

2018年に買ってよかったもの

今週のお題「2018年に買ってよかったもの」

 

ということで、ジャンルごとに振り返ろうと思います。

 

 

体験/現場

行った現場はほかにもあるのですが、特別思い入れの強いものについて書きます。ここに書いてないからって、楽しくなかったわけじゃないから!全部楽しかったから!(自分の思い出に対する配慮)

複数公演入った場合もチケット代は1枚分の値段で載せています。

 

1. 母とのスペイン旅行

価格:約320,000円(二人分)

春に母とスペイン旅行に行きました。大韓航空で6日間。

さいころセーラームーンの人形ひとつ買うのにも躊躇するほどの裕福ではない家庭だったと聞いているのですが、そんな中でも英会話を習わせてもらっていたので(ペラペラではないけど)、その恩返しというか、一緒に行けるタイミングで母を遠くに連れて行ってあげたいなという想いで旅行しました。(旅行嫌いな父は留守番)

母も楽しんでくれたみたいでよかった。

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ずっとサグラダ・ファミリアを見てみたくて、10年越しに叶えられました!

スペインは治安が悪いと聞いてびびっていたのですが、特に他の国と変化は感じられず、もっと早く行くべきだったなと思いました。

サグラダ・ファミリアも、グエル公園も、カサ・バトリョも、とても綺麗だったし、素敵な街でした。

別アカウントで旅行ブログもやってて、そこに旅行記をまとめています。

hana-trip.hatenablog.com

 

海外旅行に行くときはだいたい『旅工房』さんで予約しています。安い。

www.tabikobo.com

 

2. 映画『パラレルワールド・シアター』クラウドファンディング

価格:秘密

映画『パラレルワールド・シアター』公式サイト

広瀬斗史輝さんが出演する映画のクラウドファンディング

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最初は「出演するなら応援せねば~!」って気持ちで参加したのですが、一年を通してずっとわくわくさせていただいて、とても楽しかったです!

クラウドファンディングは初めてだったんですが、支援者限定の記事が更新されたり、監督さんのツイッターを見て完成に近づいていく様子を知れたり、いままで映画って完成したものを見るだけだったので、経過を追えるのがとても楽しかった!

エキストラにも参加して撮影風景を見られたのも楽しかったし、自担の映画に自分もいるのってすごく貴重でなかなかできない体験だな~と嬉しかった!

今月は完成披露試写会があるので楽しみです。

アラサーの劇団のお話で、ジャニオタの観点からすると、勝手に「後輩がどんどんデビューしていく20代以上のJr.担」あたりに刺さりそうだなと思ってる…

公開は来年1月下旬~2月で、シネマハウス大塚というところで上映されるそうです。

 

 

 

3. 舞台『ナイツ・テイル』

価格:13,500円

こちらも広瀬さん出演の舞台!

自担の帝劇デビューが見届けられて、梅芸もやっと1階席を体験できて、嬉しかったー!

カンパニーの皆さんがすごく仲良さそうで、その様子をツイッターで見ていてほほえましかったです。

『ナイツ・テイル』の曲で広瀬さんがSONGSに出演したのも嬉しかった!

pink8er-hana.hatenablog.com

 

4. Summer Paradise 2018 内博貴ライブ

価格:8,000円

これを語らずに2018年は終われないでしょう…!

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チケットが完売しないとか、「最後かも」って発言されるとか、公演前から波乱万丈だった今年のサマパラ。

でも、蓋を開けてみれば楽しくて、内くんも終わってから何度も「またライブやりたい!」って言ってくれていて、本当によかった~~と思っています。

でも実際の状況を考えたら厳しいのもわかっていて、そうやって言ってくれるようになっただけでもありがたいなと思っている。

pink8er-hana.hatenablog.com

 

5. GR8EST in Taipei

価格:約150,000円

子供のころから夢に見ていた自軍の海外公演遠征がやっと叶いました!!

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台北は一度旅行で行ったこともあって、観光もしやすくてとてもよかったです。

マンゴーのかき氷、おいしかったな~~!!

久しぶりにアリーナクラスの会場で近くで観られたこと、久しぶりに『無限大』を聴けたことはもちろん、台北の街中に貼られた関ジャニ∞のフラッグやポップアップストアなどで海外進出を実感できたことも嬉しかったし、グッズ列でたくさん現地の人が並んでいてこんなに海外で愛されているのかって目の当たりにしたことも嬉しかったし、オフィシャルツアーのファン向けにグッズを小出しにたくさん用意してくれたことやサンクスレターがあって関ジャニ∞の優しさを感じられたのもよかったし、本当に「行ってよかった!」と思いました。

pink8er-hana.hatenablog.com

 

6. 舞台『まさに世界の終わり』

価格:7,800円

最初は暗そう重そうで楽しめるか不安だったのですが、観てみたら内くんの緻密な演技と感情の爆発がすさまじくて、語られない部分を想像するのが謎解きみたいに楽しくて、3週連続で東京に通うはめになりました。

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すごかったな。本当に。いまだに脳内で舞台を再生しては、すごかったな…と思っている。

内くんは全然舞台の細かい話を語ってくれないけど(笑)、それぞれの人物設定や背景など、かなり計算された細かい裏側がたくさんあるのだろうなと思っています。

pink8er-hana.hatenablog.com

 

7. デザインフェスタ出展

ハンドメイドもしているのですが、こちらもずっとやってみたいと思いつつなかなか踏み出せずにいたのを、ようやくチャレンジしました。

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 大儲けできるほど売れたわけでもないけど、作ったものを目の前で「かわいい~!」と言ってもらえることがとても嬉しくて、それにお金を出して買っていただけるのがさらに嬉しくて、チャレンジしてよかったなと思いました。

デザフェス以外にも、minneのハンドメイドマーケットや、アート&てづくりバザールにも出展したのですが、昔から出たいなと思っていたデザフェスは特に思い入れが強かったです。

来年もたくさん出展したい。

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おたく関連

8. でかい舞台雑誌の切り抜きも入る!無印良品のクリアホルダーA4ワイド

価格:550円

舞台雑誌ってなんでA4よりデカイんでしょうね。せめてA4に収めてほしい。

てことで、うわさのA4ワイドを買いました。舞台雑誌の切り抜きが余裕で入る。感動。

www.muji.net

ついでに、バインダーとリフィルも買いました。

これは契約書とか説明書とかまとめるのに便利。

枚数が決まったクリアホルダーだと、追加するのが面倒臭いのですが、リフィルなら追加や並べ替えが楽なので買ってよかった。

 

9. 内博貴アクリルスタンド

価格:1000円

サマパラ2018で購入した内博貴アクリルスタンド。

連れ回すの楽しい。現場や旅先に連れて行く。

『えびちゃんずー』でよく船に乗せられがち(そして沈められがち)なので、水辺や船と一緒に写真を撮ります。

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たくさん買ったので、スマホケースにもしました。100均のクリアケースに貼りつけた。文字はレジンで自作しました。かわいい!(ただしちょっと恥ずかしい)

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10. セーラームーンの変装ペン万年筆

価格:24,840円

そんなした?!

プレミアムバンダイの予約販売商品。今年の4月くらいに届きました。と思う。

 

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さいころ、変装ペンのおもちゃを持っていたのですが、そのボールペンがすごく書きにくかったのが印象に残っています。笑

万年筆は高かったけれどすごくキラキラで繊細で、子供のころのおもちゃも好きだったけど全然ちがって、「セーラームーンとともに25年の歳月を生きてきた」という感じがする。

私はセーラームーンとともに大人になったんだ。

どういうことかというと。

数年前に子供の頃に持っていたコンパクトが出てきたのだけど、動かなくなっていたから家で使うフェイスパウダー用に改造したことがあるんですね。

分解してみると子供が飲み込んだりしないように、細かいパーツもとても丁寧に安全に設計されているのがわかりました。

なんか、子供用に気を付けて作ってくれてたんだなぁって、感激しました。

そのおもちゃで遊んでいた私たちが大人になって、セーラームーンは25周年を迎えて、復刻おもちゃも子供対象じゃなくなって、ギミックが追加されたり繊細なものが出たりして大人対象の商品になって、そういうところが、「セーラームーンと一緒に大人になったんだな」って感じます。

大切に使うんだ。

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11. スマホBluetoothキーボード

価格:5,700円

遠征先ですぐブログを書きたいときに便利!

ファンレターの下書きも楽です。スマホフリック入力するよりも俄然早く打てる…!

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詳しいことはこちらの記事で書きました。

pink8er-hana.hatenablog.com

 

12. 関ジャニ∞ベストアルバム『GR8EST』台湾版

台湾公演遠征の際、現地のCDショップで購入しました。

台湾版といっても曲はそのままなんだけど、台湾語の歌詞カードがついているのがおもしろい!

意味はわからないけど、「あの曲って漢字だらけになるとこんな感じなんだ!」というのが見られて興味深いです。

『8EST』のほうも買ってくればよかった。また台湾行くしかない。

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コスメ/メイク関連

13. 眉カット

価格:1,500円

普段セルフでカットしていたけど、プロにお任せしたらすごく綺麗に整えてくださって、理想の形やアイブロウの濃さもわかって、行ってよかったです!

プロの方に整えていただいたら、イモさが若干抜けた…すごかった…

www.haruka.co.jp

 

14. TSUBAKI プレミアムリペアマスク

価格:1200円

すごくいいとTwitterで見かけてすぐ買った!

ちゅるんちゅるんになる!すごい!!

縮毛矯正+カラーでタワシかよってぐらい髪が傷んで、自分の髪が大嫌いなんですけど、これをした翌日はずっと髪を触っていたくなるレベル…

 

15. クラランス リップオイル

価格:3,456円

ずーっと気になりつつも踏ん切りつかずにいたのですが、友人にプレゼントとして、内くんの昔のあだ名にちなんだ「ハニー」をもらって、使ってみたら感激!伊野尾慧の唇ぐらいぷるっぷるになる!すごい!しかもベタベタせずサラサラしているのが心地いい。そう。「心地いい」なんです。付け心地が。

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気に入りすぎて、すぐさま限定カラーのベリーグラムとハニーグラムを買った。キラキラもかわいい!

 

16. トムフォードビューティー HIRO

価格:約3800円

自担の名前がついたリップスティック買った、めっちゃテンションあがる。

現場コスメです。自担二人とも「ひろ」がついてるので天才です。

内くんの現場はこれに先述のクラランス「ハニー」を重ねます。完璧だ!

イエベに合うオレンジ系の赤で、ゴールドラメがめちゃかわいいです。

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名前シリーズはほかにもあるので、推しの名前がないかぜひ探してみてください!

www.tomford.com

 

17. ADDICTION アイシャドウ

価格:各2,160円

買ったのは、『99 Miss You More (P)ミスユーモア』『85 Shanghai Breakfast (P)シャンハイブレックファースト』『31 Tiny Shell (P)タイニーシェル』の3種類。

 

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奥の2色どっちかをベースにして、手前のシャンハイブレックファーストを中間色にして、別のブラウンを締め色にするのが好き。

シャンハイ、絶妙な赤みブラウンでとても好きです。

買う予定はなくて、本当はベース用の色が欲しくてタッチアップしてもらったのだけど、仕上げに一緒に塗ってくれたシャンハイが気に入りすぎて衝動買いしてしまった。結果、一番買ってよかったと思う色です。

 

18. ネイルホリック

価格:324円

これが300円ちょっとで買えるなんて冗談だろ!

今数えたら24色持ってた。

渇きやすいけどムラになりにくくて、本当に好き!

くすみカラーも派手色もあるので、気分でちょこちょこ買い足してしまう。

お気に入りはボルドーっぽい赤の『RD403』、ネイビーの『BL905』、ぎっしりゴールドラメの『GD004』です。

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現場のキーカラーに合わせて、GR8ESTの時はゴールドとか、SHOCKの時は赤とか、楽しんでいます。

www.kose.co.jp

 

日用品/食べ物

19. 無印のリュック

価格:2,990円

今年買ったものを語るのにこれは外せない…

本当に軽く感じるし、シンプルでたくさん入るし、日帰り遠征にちょうどいいです。

www.muji.net

 

20. ダイソーのケース(マステ収納用)

価格:216円

A4の書類ケースなんですが、マステ収納にちょうどいい。

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コピー用紙でテキトーな仕切りを作って収納しています。2箱ある。これ以上は増やさないぞ…

でも、ファンレター書く時に無地の便箋に気分で貼るので、たくさんあるのもいいよね!(3箱目フラグ)

 

21. セリアのケース(刺繍糸の収納用)

価格:108円

30個バージョンと42個バージョンを使っています。

刺繍糸を収納するのに便利!ラベルシールに品番を書いて貼って、色ごとに収納しています。

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ピアスやネックレスの収納にも使ってる。シンプルで使いやすい。

 

22. セブンイレブン バナナチップスチョコ

価格:149円

パッケージの写真は全然そそらないんだけど、カリカリの分厚いバナナチップスに、手につきにくいチョコのコーティングがしてあって、おいしさ×食べやすさの同居が素晴らしい!!

本当に、まじでパッケージはそそらないけど、1回食べてみてください。絶対おいしい。

バナナチップスチョコ - セブン-イレブン~近くて便利~

 

23. ウタマロクリーナー

価格:約500円

急にガチ日用品ですけど。素手で使えるのにスルスル汚れが落ちる神。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ウタマロ クリーナー(400mL)【ウタマロ】
価格:481円(税込、送料別) (2018/12/5時点)

 

めちゃくちゃ面倒くさがりの私はわざわざ手袋して掃除するのがもうハードルなんですが、これは素手で使えるからコンロにシュッシュして、キッチンペーパーでぺぺぺっと拭いて使えるのがよい。

www.e-utamaro.com

こんな感じでした!(締めが雑)

 

劇団時間制作「こっちとそっち」を観劇しました

広瀬斗史輝さんが出演されている「こっちとそっち」を観劇しました。

 

stage.corich.jp

 

小劇場でお芝居を観るのはあまり経験がないので、かなりキョドキョドしながら行きました。

学生のころに一度先輩の舞台を観に行ったくらいだ。

 

舞台のテーマは「地域差別」

 

アパートの複数の部屋が舞台上にあって、どこかの部屋で何かが起きているときも他の部屋ではお芝居が続いていて、おもしろかった。

そのぶん、情報量が多すぎて頭がいっぱいいっぱいでした。目まぐるしい。

4つの部屋の人たちの状況、セリフ、気持ちが繋がっていっぺんに入ってくるので「おおおお?!」って感じだった(語彙がない)

 

実は先週ちょうど引っ越しを考えていて(なくなったけど)、周りの人に「引っ越し先の地域のことちゃんと調べておいたほうがいいよ」って言われて、別に家賃安くて交通の便がよかったらどこでもええやんと思ってたんだけど、こういう問題がある場所が本当にあるのかなぁと思った。思って、調べてみたら、どうも母親の実家の地域や幼稚園を卒園するまで住んでいた場所もそういう場所だったらしい。いま知った。

幼稚園のころ、母の実家にもよく行っていた。

いまは開発でなくなってしまったけど、木造の家が多くて、落ち着くところだった。

向かいには桃の木を育てているおばちゃんがいて、近くには木製の滑り台のある公園とも呼べない広場があった。近所の市場でセーラームーンのカードを買ってもらった。おばあちゃんの家は木造で歩くと床がきしんで、そのたびにファミコンがプツプツ切れて、よくいとこの兄ちゃんに怒られたものだった。砂壁にキラキラのラメが入っていて好きだった。そんなことを思い出した。

特に母から地域がどうこうとか差別の話は聞いたことないし、小さい頃に他人から何か言われたとか、逆に「あの地域の子はどうのこうの」という考えを植え付けられたこともない。子どもから見れば、おだやかな地域だった。

 

昔の差別が根付いていて、今も残っていて問題視されているっていうのは、正直私はよくわからない。

子供の時も意識したことはないし、大人になった今でも「あの地域は〇〇だよ」とか言われても、「へ~そうなん、だからなに?」ぐらい、ピンとこない。

肉屋とかで生き物の命を扱っていたからというのが理由というのは知ってるけど、いまどき肉屋だからって差別する感覚もわからないし、食べ物供給してくれてありがとうと思うし、昔それがあった地域だからといって、なくなった現代でも差別するという感覚もわからない。「だから何?いつの話してんの?」って思う。

こんなぼーーっと生きてるやつがこんな真面目なテーマの舞台の感想を述べて大丈夫なんだろうかと心配なのですが。

 

私の中にも偏見や差別がまったくないとは思わないけど、「〇〇人はこう」「〇〇出身の人はこう」ってひとくくりにする人って、なんか、短絡的でバカだなって思う。

いままでの社会生活の中で、外国人も、病気の人も、障害がある人も、LGBTと言われる人も、いろんな人がいたけど、「〇〇だからこう」ってひとくくりになんてできないし、しようとも思わない。

いい人でありたいわけではなくて、「みんな違ってみんないい」ってわけでもなくて、「好きな人は好きだし嫌いなヤツは嫌い」っていう、それだけなんですけど。

 

生徒会長のさえちゃんみたいな「私はあなたたちを差別しません!」っていう無理やり近づこうとするタイプは明るい差別だなぁと思う。

別にそんなこと気にせず、仲良くしたかったらすればいいし、したくなかったらしなけりゃいいだけの話なのにね。

 

地域差別のことは大学のゼミで少し触れたことがあって、そのときも、私は「差別反対!」とか言わなかったらその地域が差別を受けてるなんてこと全く知らないのに、それを言い続けるから消えないんじゃないかなって思ってた。ていうか、そのときに初めて地域差別というものを知った。

「騒がず黙ってろ」ってわけじゃなくて、昔あった差別が根付いてるって言っても子どもにそれを教えなかったら知らなくなるわけで、なのにずっと言い続けてわざわざ消えなくしているような気がする。

舞台の中での、お母さんはそういう人だなと思った。

お母さんは子供たちのために「差別反対!」と運動をしているけど、子どもからしたら、「逆にそんなアピールせんといてや」って気持ちなんじゃないかな。

いや、でも自分がそういう状況にいないだけで、実際その立場になったら何もかもを差別に感じて、抵抗せずにはいられなくなるんだろうか。

 

私は登場人物の中で言ったら、チェンの立場かなぁと思う。

「好きで楽しかったらそれでいいやん~」くらいのノリで。

広瀬さんの役の優生くんは彼女と喧嘩しても一生懸命歩み寄ろうとしてたけど、私だったら喧嘩の時点で「地域どうこうの前に性格合わんわ!」と思って出ていくな……

地域の人たちが「差別されている」と卑屈になりすぎることで、「外側の人」を差別する(本人たちはそれを差別だとは思ってない)ということも、実際にあるんだろうなぁと思った。

 

終わってから面会があったのがカルチャーショックで驚きました!

お見送り的な流れ作業かと思っていたら、客席のあちこちでキャストの方々とお客さんが話し始めたので、なにが起こってるのかと思った。

せっかく広瀬さんと直接お話しさせていただける機会だったのに、多すぎる情報量に処理が追い付かないのと、自分にピンとこない問題がテーマだったのと、緊張とで、ありがとうございましたbotと化した。めちゃくちゃ優しく対応してくださった~!

 

ピンとこない問題と書いたけど、ピンとこないままいろんな人に出会える社会になるのが一番いいんじゃないかなと思う。

「差別をなくそう!」って躍起になったり、あからさまに「あの地域は〇〇だから」って言うより、「差別?なにそれ?」って思える状態が一番「差別がない状態」だと思う。

(どっち側の気持ちもわからないからお気楽すぎて当事者の方々の神経を逆撫でするような言い方だったら申し訳ないですが)

 

来月も、広瀬さん出演の作品を観に行きます!

今度は映画で、劇団がテーマの作品。

今回、小劇場に行くのも劇団のお芝居を観るのもほぼ初めてで、いろいろなことがカルチャーショックで楽しかったので、そういう世界を覗き見できるのかな。

それとも似て非なるものなんでしょうか。

わからないけど楽しみ!!

 

映画『パラレルワールド・シアター』公式サイト

 

youtu.be

 

 

 

舞台「まさに世界の終わり」について、一ヶ月の感想をまとめた

舞台「まさに世界の終わり」が本日千穐楽を迎えるので総まとめの感想を残そうと思います。

自分の観劇最後の日、友人と飲みながら3時間くらい色んな話をして、改めて自分の考えを掘り起こしたり、友人の解釈を聞いたりして、すごく楽しかった。

なるほどなって思うことがたくさんあって、感想を言い合う楽しみってこういうものなんだなぁと思った。

 

感想、いつもバラバラに書いてまとまらないから、場面ごとに書いてみる。

先に言っておくけどめちゃくちゃ長いし、舞台を観た人にしかよくわからないと思う。

 

見出しは場面がわかりやすいように勝手につけただけです。

 

前提として、ルイは性的マイノリティであり、作者ラガルスと同じエイズであると仮定しながら考えたものです。

 

 

 

 

1.プロローグ(ルイの出発)

ベッドでうなされて飛び起き、何かを掴もうとするルイ。

力なく腕を落として、自嘲気味に笑ったり、寝汗をぬぐったりして、静かに話し始める。

7回観たのだけど、11/2の始まり方が妙にすごくて、本当に死に絶望している感じがした。

消え入りそうな声で、光のない目で、ぼんやりと「僕は死ぬことになっていた」とつぶやく姿が忘れられない。

内くんが言い始めたことで、ファンの間でも「ラガルスが来た」と形容される回があるのだけど、それだったのかもしれない。

 

2.家族とルイの再会

ルイが入ってきた瞬間、お母さんは喜びを抑えながらアントワーヌを気に掛ける。

アントワーヌは気まずそうに玄関から一番離れた椅子に座る。ちらちらとルイを気にしながら水を飲む。突然帰ってきた弟の様子をうかがっているみたいだった。

ルイが挨拶のキスをしないことについてシュザンヌが「いつもこうだった」というけど、シュザンヌが小さいときにルイは出て行って、あとの場面で「兄さんのこと何も覚えてないわ」というので、変だなと思っていた。(ここはあとの場面について教えてくれた友人の解釈がすごくしっくりきた)

 

3.カトリーヌの子供の話

初対面なのに、カトリーヌはルイに対して懸命に話題を提供しようとする。沈黙を作らないように。それがすごく「気を使っている嫁」という感じで、カトリーヌ大変だねぇと思いながら見ていた。

ここで、長女が8歳、息子が6歳という情報が出てくる。

長女が生まれたとき、ルイは花を贈って、カトリーヌは娘の写真を送ったという。つまり、アントワーヌがルイに出産を伝えて、ルイがそれに対して花を贈り、カトリーヌが写真を送った。アントワーヌはルイの住所を知っていたし、連絡を取り合っていた。

ここで子供の話をするカトリーヌに、アントワーヌは「弟がうんざりするじゃないか」という。アントワーヌ本人はなんでそんなことを言ったのかわからないと言うけど、久しぶりに帰ってきた弟が初対面である嫁の話をずっと聞かされていることに気を使ったのか。アントワーヌは乱暴な物言いをするけど、内心では弟のことを気にかけている。だから気を使ったのかな。(でもカトリーヌだって一生懸命話題をつなげようとしてたんだよ、カトリーヌお疲れ様だよ…)

一方、ルイはそれに対して「どうして兄さんはそんなこと言うのかな。わからないな。意地悪だし不愉快だよ。全然うんざりなんかしない。僕の甥っ子、姪っ子なんだから、興味あるよ」とアントワーヌの”罪を告発”する。

後半のシーンでアントワーヌに邪見に扱われていると考えたルイは兄を陥れるために善人ぶった発言を繰り返すんだけど、その手口はもうここから始まっていたんだと思う。

最初は騙された。なんでアントワーヌはルイに対してすぐいじわるなことを言うんだろうと。でもルイの手口に気付いてからは違った。わざとらしく左耳に髪を撫でつける仕草が、兄を悪者に仕立て上げるときのサインに見えた。(毎回そうってわけでもないみたいだったけど)

このとき、ルイは困ったように母を見る。きっと母も騙されている。アントワーヌに乱暴者のレッテルを張って、ルイを守らなきゃと思ってしまう。

次に、カトリーヌが息子(ルイ)の名づけの由来を語り始めるとき、アントワーヌが「フランス歴代の王様だよ」と冗談を挟む。それをたしなめられたあとに「こんな日に冗談も言えないなんて!」と言っていたことから、アントワーヌはルイの帰省を喜ばしいものだと思っていて、不愉快にさせてしまったからウケを狙って挽回しようと思ったのかな、と感じた。

でも、「由来を話さないように遮ったのかも」という感想ツイートを見て、そういう気持ちで観たら、確かにそうにも見えた。どっちだろう。気になる。

結局カトリーヌは息子ルイの名前の由来を話し始めて、「みなさんのお父さんの名前」「あなたにはお子さんがいらっしゃらないから」と言い、ルイを動揺させてしまう。とにかく沈黙を作らないようにしなきゃって、悪気はないように見えた。

何も知らずに見たときは、もうすぐ死ぬから子供を作れないという理由で動揺しているのかと思ったけど、髪を耳にかける女性っぽい仕草や、「普通と違う」という発言から、同性愛者・性的マイノリティなのではという意見を目にして、そう考えるのが一番腑に落ちた。

確かに、ルイが32歳で、アントワーヌの息子のルイが6歳。ルイが25,6歳の時点で「弟は子供を作らないだろう」と判断するのは早すぎる気がする。アントワーヌにそう思わせる理由があったはず。

このとき、鼓動の音が流れる中、ルイの顔がどんどんこわばって目が泳ぐ。

「アントワーヌのアイディアなんです」と言われて、ルイはアントワーヌを睨みつける。

アントワーヌが自分の秘密に気づいたのか、それともカトリーヌにばらしたのか、疑心暗鬼に苛まれるようにルイの視線がぎょろぎょろと泳ぐ。

そのあとルイが「跡継ぎの男の子」と言ってアントワーヌが「くそっ!」と怒るのは、それが嫌味だと気づいたということ。

原作だとルイが長男、アントワーヌが次男という設定なので、「次男のアントワーヌが勝手に兄は子供を作らないと判断して、父の名前を引き継いだ長男ルイの名前を自分の息子につけた」ということになる。ルイはそのことに対して嫌味を言ったんだなと思う。

 

4.ルイとシュザンヌ(階段)

シュザンヌの「兄さんのこと何も覚えてないけど」というセリフで始まる。

私はこの場面でシュザンヌが「兄さんってああでしょ!こうでしょ!」とまくしたてるのを聞きながら、シュザンヌはめっちゃ嬉しいんだな、かわいいなぁと思っていた。ルイも笑いながら聞いているので、そうなのかなと思っていた。

でも、時々ルイはすっごくうざそうな顔をする。その理由がずっとわからなかった。

友人に「あれは決めつけて話されるのが嫌なのかも」と教えてもらって、すごくすっきりした。

友人は「ポストカードをたばこ屋で買ったと言われたとき嫌そうだった。あとからアントワーヌのセリフで、ルイがたばこを吸わないことがわかる。シュザンヌはずっとイメージだけで決めつけて話してるから、ルイはそれが嫌なんだ。でも書くのを仕事にしてるって言われたときに笑うのは、それだけ当たってるから笑ったのかも」と教えてくれて、「なるほどな~~~~!!!!」と、もんのすごい腑に落ちた。

友人のシュザンヌ考察、とてもわかりやすくて好き。URL掲載の許可をいただいた!)

 

11/7追記

昨日、島ゆいかさんのツイッターで、シュザンヌの脚にあった大きなアザがメイクであったことが明かされた。

え~~!ずっと本当にケガしたんだと思ってすごく心配してたら!まさかのメイク!ということは、アザにも意味があるのか……とまた考えを巡らせることになった。

シュザンヌは、大きなアザがあってもショートパンツを履いて脚を見せることを厭わない性格の子なんだと思うと、ルイとは正反対のタイプだなと思った。

ルイは自分の本音や性のこと、病気のことを秘めてばかりだけど、シュザンヌは隠し事をしない。おおっぴらな性格。そういうことなのかなと思った。

でも、夢の中のシーンでアントワーヌが言うセリフには、「おまえとルイは似てる」という言葉がある。「兄(ルイ)がいないことをシュザンヌは不幸だと思っているけど、それは自分が不幸だって思いたかっただけだ」と。

ルイとシュザンヌは正反対に見えるけど、不幸を武器にするルイと似ていると考えるなら、シュザンヌはアザをあえて見せることでルイに優しくしてほしい、気にかけてほしいという算段があったのかもしれない。

または、夢の中の言葉はルイの頭の中のものなので、実際はそうでないのにルイの受け止め方がひねくれていて、「シュザンヌはアザのことを心配してほしいのか?」と思っていたかもしれない。 

 

5.日曜日の話

何度も聞かされたお母さんの話をニコニコ聞いてあげるカトリーヌは本当にいいお嫁さん…私はこの登場人物の中で、カトリーヌが一番好き。

ここでアントワーヌが席を立とうとすると、ルイがすかさず「どこ行くんだよ、さみしいよ」と声をかける。出たな善人~~!!!(内くんのことは大好きだけど、ルイのことはヤなやつだと思っている)

お母さんもそれに応じてアントワーヌのことを「ひねくれてる」と言う。アントワーヌ不憫。

ここでお母さんは「お父さんは赤が好きだった」って言う。

私は、きっとお母さんの思い込みなんじゃないかって思っていた。お母さんはネックレスもブレスレットも靴も赤。きっと赤が好きで、ここからたくさん家族のことを決めつけながら話す場面が出てくるから、お父さんも赤が好きって決めつけていたのかなと思った。

でも、感想ツイートを見ていたら「お父さんが好きだった赤を身に着けてるんだね」というのを見かけて、その考え方もあったか~!と思った。担当カラーに色の好みを支配されている私はすごく納得した。どうなんだろうなあ。

ここでルイがゲホゲホ咳込むと、お母さんが慌てたように「それから!ピクニック!」と新しい話題を繰り出す。ここで病気のこと察したのかな。でもお母さんめっちゃ決めつけて話すから鈍感な気もするけど…

アントワーヌはこのあとシャンパンを注ぎに回って、ルイだけ全然飲んでいないことに気付いて怪訝な表情をする。それから、ちらちらとルイの様子をうかがっているから、異変には気づいていると思う。

この場面で好きなのは、思い出のレストランの話をするところ。カエルと鯉のフライ、というキーワードでルイが愛想笑いを崩したように見えた。

「ああ~、あの店ねー!うんうん、好きじゃなかったな(笑)」と、アントワーヌと一緒に笑うところは、兄弟っぽさが出ていて好きだった。本当に、小さい頃は仲がよかったんだなと思った。

ツイッターで友人と話していたら、アントワーヌ役の鍛治直人さんから「兄弟揃って鯉と蛙のフライが大嫌いなんです!」とリプライをいただいた!嬉しい!あってたんだ!)

 

6.「ほんの十日くらい前…」

家族の団らんがぴたっと止まって暗くなり、ルイがうんざりしたような顔でだらりと客席を振り返る。

「ほんの十日くらい前、僕はどこにいたんだっけ」

このギャップもすごく好きだった。

死に対する絶望が語られる。

「みんなが僕についてあるイメージを作り出して、いつかそのうち僕を好きでなくなる、好きでなくなってしまう」

友人に「ルイは決めつけられるときに嫌そうな顔をする」と聞いたことを思い返すと、そのときの気持ちが語られているのかなと思った。

勝手にイメージを作られて好き嫌いを判断されるということが、本当のルイを見てもらえず孤独の中に置き去りにされてしまう、見捨てられた、誰も理解しようとしてくれない、という気持ちにつながるのかな。

ルイの気持ち、全然わからないわ。だって何も言ってなくて笑ってるだけなのに、本当の自分なんて理解してもらえなくて当たり前だし、それなのにいじけてなんなんだ?と思う。言いたいことはなんとなくわかるけど、気持ちはほんとわからん…と思っていたんだけど、ここまで書いて、そういえばルイの病気はエイズなのかもしれないんだと思い出した。(自分の思ったことを置いておきたいのであえて消さないでおく)

私はエイズが誰でもなりうる病気で、感染の原因が性行為か血液感染か母子感染だと知っている。偏見がある病気だというけど、偏見を持つ前にこのことを本で読んだことがあったので、「偏見がある病気」という感覚がなかった。

だけど、エイズは1981年にアメリカの同性愛者の男性に初めて発見されて、そこから10年で世界中に広がったらしい。

この戯曲が作られたのは1990年。まさにその時期だ。

そのころは(今もなのかわからないけど)、同性愛者の病気とか、薬物濫用者の病気だと偏見があったそうで、そういう病気なら、ルイが家族になかなか言い出せないのは理解ができた。

「僕についてあるイメージを作り出して、いつかそのうち僕をもう好きでなくなる。好きでなくなってしまう」と苦悩するセリフの意味もわかる。

そして、エイズは感染の原因だけでなく、感染経路についても偏見があるという。

エイズ飛沫感染接触感染はしない。だけど、そういった偏見をもし家族が持っていたとすれば、「うつるから近寄らないで」と言われる可能性だってある。

食卓のシーンで、ルイがグラスの水を飲んだあと、飲み口をぬぐっているというツイートも見かけた。自分では見られなかったのが残念だけど、もしかしたらルイ自身も感染経路について誤解があり、「唾液から家族に感染させてはいけない」と思っていたのかもしれない。

ルイがエイズで死ぬことを告げるとき、性的マイノリティであるとしたらそのことから話さなきゃいけない。ルイは2つのカミングアウトが必要だったわけで、最悪の場合、自分の心も体も否定される可能性を孕んでいた。

そりゃなかなか言えないわ……

この気持ちをもって、もう一度観劇できないのが惜しくて仕方がない。

そしてエイズのことを調べていて気付いたことがひとつ。

エイズに対して偏見を持っていない」という意思表示のために、「レッドリボン運動」というのがあるらしい。

ルイのジャケットの裏地の赤や、お母さんの小物が赤いことと、何か関係があるんだろうか。

 

7.ルイとカトリーヌ

ルイが咳込んで慌てて薬を飲んでいるところに、カトリーヌが入ってくる。

ルイは気づかれないようにして、落ち着いてからカトリーヌに話しかける。

「どうしてアントワーヌがあんなこと言ったのか、僕にはわかりません」

あんなことっていうのは、子供の話について「弟がうんざりしている」と言ったこと?だいぶ場面挟んだけどここで蒸し返す?アントワーヌを悪者にするために。

「兄は、あなたが僕を嫌うように仕向けたのかも」と言いながら、またドヤ顔でわざとらしく左耳に髪をかける。

きっとここでルイはカトリーヌを味方につけたかった。母や妹のように自分を大切にしてほしかったのかな。

でもカトリーヌは騙されなかった。「そんなこと思ってもみませんでした」と。

ルイからすれば、なんだつまんねえなって感じだと思う。

そのあと、カトリーヌが「アントワーヌの役割(仕事)を知っていますか?」と聞いて、仕事内容を説明する間、徐々にルイに当たるスポットライトが白くなっていく。

ルイのライトが白いとき、ルイの心の中では何か変化(動揺や怒りやネガティブな気持ち)が起こっている印のようだ。

このシーンでは、カトリーヌがアントワーヌの味方をしたことがおもしろくなかったのかもしれない。

カトリーヌも「アントワーヌはあなたが自分に興味がないと思っている」と決めつけて話すけど、カトリーヌの解釈と実際のアントワーヌに大きなズレはないように感じた。だからルイは、アントワーヌが理解されて愛されていることを疎ましく妬ましく思ったのかな。ルイは自分を理解してくれる人がいなくて孤独だと思っているから。

で、カトリーヌが「彼に言うべきことを言ったほうがいいです」と話したあと、「アントワーヌがあなたを嫌うように仕向けたって?」と聞き返すとルイはバツが悪くなって「言うべきことも言うべきでないこともわかりません」と返す。

それに対してカトリーヌは「よかった、さっきよりずっといい」と言う。

これは、ルイがアントワーヌを悪者にしようとしたのを諦めたことに対してなのかな。

最後、カトリーヌが去ったあと、ルイは「ふう」と緊張が解けた様子を見せる。カトリーヌには自分の悪意を見抜かれているようで気を張っていたのかもしれない。

 

8.ルイとシュザンヌ(祝砲)

シュザンヌが出てきて、ルイにカトリーヌについて話す。

カトリーヌがどんな人物かを決めつけて話す口ぶりに対して、ルイは「いつもそんな感じなの?「自分の意見」を言うとき、いつもそんな感じなの?」と聞く。

すごーーく優しい聞き方だけど、舞台ではわかりにくいけど、翻訳本では「自分の意見」とカギかっこがついている。

自分の意見なだけで実際はどんな人かわかっていないだろうという嫌味なのだろうか。

ここの「祝砲!ダーン!」「(…)うう~」の流れが微笑ましくて好き。ここは妹をかわいがっている兄という感じがする。

でもそのあとシュザンヌが「こういうとき、アントワーヌはこういうの。黙ってろシュザンヌって」というと、ルイが「黙ってろシュザンヌ、か…」 と繰り返す。

このとき、「そっかあ」と優しそうなときもあれば、「本当にその通りだな」とウザそうなときもある。

これはそのときのルイの気分によるものみたい。その微妙な差の違いが楽しい。

 

9.ルイとお母さん

ルイがタイプライターで文字を打っている。ルイの仕事は書くことっていう暗示なのかな。

そしてお母さんが登場して長台詞。アントワーヌとシュザンヌに対する決めつけが炸裂する!(言い方)

その間、ルイは結構優しい顔をしているなと思っていた。

「作り笑顔」と言いながらお母さんはルイの顔に触れる。うちの母も実家に帰ると顔や手をぺたぺた触ってくるのだけど、そのときの気持ちを思い出して、ルイも嬉しいんじゃないかなと思った。大喜びするわけじゃないけど、ぽわっとする。

お母さんもルイの嫌いな「決めつけ」をするけど、ルイは困ったときはお母さんに助けを求めるし、お母さんがアントワーヌに悪印象を抱くように仕向けたりするから、ルイの中の好き度で言えば、お母さんが一番上な気がする。

だからポジティブに今後の話をするお母さんに、もうすぐ自分が死ぬことを言い出せなかったのかもしれない。

この場面の最後、「いくつになった?」と聞かれるとき、ルイは一度顔をそむける。

私はそれを「もうこれ以上生きられないよ、ごめんね」という悲しい気持ちを押し殺しているのだと思っていたけど、別の人の感想で「嫌そうな顔」というのを見た。

確かに、出て行った息子が心配なら年月をずっと数えているかもしれない。でも年齢を聞いてくるということは、お母さんはルイの年齢を知らなくて、ルイにとってはそれが無関心に映ったのかもしれない。

お母さんはこのシーンで「あんたがどこに住んでるのか知らないけど」とも言う。

でも、ルイから絵葉書は届くし、アントワーヌはルイと連絡を取り合ってるんだから、住所はわかるはず。

ルイの言う「僕を置き去りにした」「まるで僕がそう願っているから叶えてやったとでも言うように」という言葉に込められた憎しみは、お母さんに対するものが一番強いのかもしれない。

日曜日の話の場面で咳込んだのに全然触れられずに別の話題に移ったことも、ルイからすれば「母は自分の体調が悪くても無関心だ」と思ったかもしれない。

お母さんのことは好きだけど、お母さんが無関心(を装ってい)すぎて、「愛してくれていない」と思ってしまうのかも。

そう考えたら、「いくつになる?」って聞かれたルイは、やっぱり僕のことには興味ないんだなってがっかりしたんじゃないかな。

マシュマロで、お母さんの言う「それ(32年)って長いの?」とはどういうことだと思う?という質問をいただいた。

お母さんからすると子どもはいつまで経っても子どもの気分でいるけど、32歳っていったらもう大人だから、「あんたも大人になったのねえ」って気持ちなのかなと思っていました。

そのあと、暗転の前の一瞬でルイが笑顔を浮かべるのが、すごく儚くて好きだった……

 

11/7追記

千穐楽を迎えた日の夜、家でまた本を読んでいたら、不思議な感覚に襲われた。

「なんで私は、お母さんが子供たちのことを決めつけているとずっと思ってたんだ?」

お母さんが語るシュザンヌとアントワーヌのこと、ぴったり合っているじゃないか。

「シュザンヌはルイのことを何も知らなくて、想像ばかり。」

実際、ルイはたばこを吸わないのに、たばこ屋でポストカードを買ったと言って嫌な気持ちにさせていた。

「アントワーヌはルイのことを知っている。」

ルイの性のこともおそらく知っているか、そうでなくても勘付いている。だから息子にルイの名前を継がせた。

「あの子たちは時間が少なすぎることを恐れていて、不器用なやり方をするわよ。そして下手な物言いをしたり、早とちりをするでしょう。ぶっきらぼうになるかも」

確かに、シュザンヌもアントワーヌも、ルイが来たことを喜んでいる。シュザンヌは嬉しくて空白の時間を埋めるように思い込みばかりでマシンガントークを繰り広げる。アントワーヌは、帰ってきた弟を笑わせてやろうと冗談を言うけど、顰蹙をかってしまったり、シュザンヌが喜びすぎてルイにガンガン向かっていくので弟を気遣ってたしなめることで妹を怒らせて空気を悪くしてしまったりする。

どちらも確かに不器用だ。あってる。

シュザンヌが家を出たがってることも、アントワーヌが家族を支えることに負担を感じていることも知っている。

ルイの笑顔が作り笑いだってこともわかってる。

お母さんのセリフを読んでいると、「来たのは間違いだったって思ったんでしょ」とある。ここできっと私は誤解した。「ルイは覚悟を決めて帰ってきたのに!」と。

そのあと「シュザンヌに会いに来てもいいって言っておやりよ」なんて流れになってくるので、ルイの死を知っている私は余計に、「ルイの「これから」はもうないんだよ、お母さん何も知らないで…」と思ってしまっていた。だから誤解が生まれていたんだ。

でも、お母さんが言ってることは、9割くらいは当たってた。

その、「家族のことをわかってる」話の流れで「おまえ、いくつになった?」というセリフが放たれる。

ルイは家族の誕生日には18年間、欠かさずカードを送っていた。シュザンヌには省略文と揶揄されたけど、家族のことを完全に嫌っていたら、そんなことはしないはず。

でも、お母さんは自分の歳を知らなかった。

家族のことをこんなに知っていると話すのに、数えるだけで済む年齢は知らなかった。

それって、ルイにとってはすごく悲しいことだったんじゃないかな。

そう思うと、ルイが歳を答える前に顔をそむけて何かをこらえるような表情をしたのは、「僕が何歳かなんて母さんは気にしてなかったのか」という気持ちだったのでは。

きっとルイは家族の中でお母さんが一番好きだと思うんだけど、その人が一番自分のことを理解してくれてないとなると、そのぶん「わかってない」という怒りや憎しみも大きくなるんじゃないかと思った。

 

10.家族写真と喧嘩

家族写真を撮るとき、ルイの顔が怖い。シャッターを切る瞬間だけ笑顔になる。

シュザンヌの理想の家族像に使われるのが嫌だったのかな。

それとも、家族が集合した今回こそ死ぬことを言わなきゃって気持ちなのかな。

(死ぬことを言えないって前提で観てるから、いつ言うのか気にする気持ちを忘れがち)

そのあとシュザンヌがルイにカメラを向けて、一緒に写ろうとするアントワーヌに「どいて!」とジェスチャーをして、アントワーヌは「なんだよ」みたいな顔をしている。

ルイが来て浮かれていつもと違うシュザンヌに対するもやもやっとした気持ちがふくらむきっかけのひとつだったのかも。

このあと、シュザンヌとアントワーヌの喧嘩が始まって、部屋を出ていくシュザンヌ。

そしてコーヒーのおかわりをもらおうとするルイの口調をおちょくってカトリーヌにたしなめられ、アントワーヌも出ていく。

二人を追いかけも心配もせずに「みんな揃って幸せだわ」なんてのたまう母を見て、ルイとカトリーヌが「はあ?」みたいな顔をする。

お母さんはルイが出て行ったらルイのことは追いかける。

やはりルイを放っておけないという気持ちはあるみたい。

みんながいなくなったあと、カトリーヌが疲労困憊という表情を浮かべて顔を覆う。

自分の夫を悪者にしようとする義理の弟、いつもと違う義理の妹と、それに対していちいち乱暴になる夫、のんきに構えている義母……そりゃカトリーヌ疲れるわ、本当にお疲れ様です…私はカトリーヌの味方だよ…と思う。

 

11.ルイのショータイム

ショータイムじゃないけど。

ここはもう中身の考察とかなんもできなくて、「これが!好き!」みたいな話しかできません。

停止したリビングに、本性のルイが現れる。悪い顔して!好き!

指パッチンでピンクのスポットライトがついて、極悪な顔をしたルイが家族を操る。

「彼らのことを前もって見当をつけておく。仲直り!GO!」と両手でハートを描くのが好き~~~!!!(ずっと自担の悪役を観たいと願っていた私は、もうこのへんは好きが爆発してルイの気持ちなど考える余裕がない)

しゃがんで悪い顔して家族の成り行きを眺めているのも、家族の狼狽ぶりを見て高笑いしているのも、全部好き……悪すぎ……

自分が死ぬことで家族に悲しんでほしい、悲しんでくれたら嬉しいってことなのかな。

ノリノリの極悪ルイから一転、ピンクの照明が消えると脚を叩く音を合図に家族がはけていく。

そこからは暗くて黒い本音のセリフが続く。

「黙って見逃したことを僕は蒸し返す」というのは、「なんであのときこんなことを言ったのか、なんであのときこうしてくれなかったのか」と不満が再発して怒りを覚えるということ?

「憎しみを吐き出す」は、「なんで自分が死ななければいけないのか、なんで誰も心配してくれないのか」ってこと?(そりゃ言わないと知らんやろ)

「お前たちを一人また一人と殺していく」というのは実際の殺人じゃなくて、いまの自分を愛してくれないという憎しみを理由にして、「お前なんて好きじゃない」と過去の楽しかったり嬉しかったりした記憶を抹殺していくことかなぁと思った。

「ぐったりと青ざめた人に戻る」のところで脱いだジャケットを撫でまわしているの色気爆発してるし、「僕は自分を生贄にしよう」のところも邪悪で好きです!!(言葉の内容についての感想を生み出せなさすぎる)

もう、私はこういう内博貴の新しい一面を観られたのが、待ってました!という感覚です!!!

「出来損ないで並以下の僕」という言葉は、やっぱり性的マイノリティであることを暗示しているのかな。家族を操るシーンでお母さんがアーメンの動きをしていて、この一家はキリスト教みたいだから、同性愛をタブー視するキリスト教として、ルイは自分の恋愛志向をいけないことだと思っていたのかもしれない。

そして、「悪くない」の言い方よ!!!いつも「は~、やっば……」しか考えられない。

そのあと、ついさっきまで早口で悪そうに怒鳴っていたのに、「さらに何か月か前のこと」で一気に怒涛の流れが止まって笑顔に切り替わるところ、サイコな感じですごかった……

「死には決して追い付かれない」でカウンターのほうに逃げて、隠れて、そーっと上から出てくるところすごく好きだし、そのあと下に潜って下から出てくるのも好き!!

「ンン!」と咳払いをしてからの「僕は物好きでいたい。ひ弱さを装って青白く、気取った青年でいたい」のところも、そのあとの「僕はよそ者だ。自分の身を守る。郷に入れば郷に従え、だ!」と指を立てる仕草も好き。

死をポジティブにとらえようとして、やせ我慢しているのかな。

家族から関心を向けてもらえなかった(と思っている)から、悲劇の主人公になれて、今度こそ同情を集められると高揚しているのかな。

かわいそうぶって同情を集めるのはルイの手口で、その最高の材料が手に入ったということ?

待合室で死が近づいてきたときの芝居が、本当に見えない誰かがいるみたいですごかった。

「死と僕は」の仕草と「僕たちはエレガントで、カジュアルで、かなりミステリアス」のとこ、すんごい好き。(いろいろ考えようとしても好きポイントで思考止まる)

うまいこと死と付き合って、悲劇の材料にして、余生を過ごそうとしていたのに、むなしい逃避行だと気づいてから恐怖を受け止めていく流れもすごかった。

「どんな場所でも、この上なく醜くてばかばかしい場所でも、見るのはこれで最後なんだ、覚えとけよ」と、現実味のなかった死を受け止めてしまって、もうどこへ行っても自分がこの場所を見られるのは最後なんだと実感してしまった。そして、「死に負けてしまった」

死と向き合ってうまくやっているつもりでカッコつけてたけど、急に、もうすぐ死ぬっていう実感が襲ってきてルイの表情が恐怖に染まっていくのがすごかった。

そして、「時にはこんなこともする」と笑顔に切り替わって遺影の話を始める。

全部時間がつながってるのがウソみたいに、ころっと切り替わる。

「次々と手渡しをする」の仕草が、本当に何人か人がいて写真を回していく様子に見えて、すごいなぁと思った。

作り笑いをしたルイの遺影を見た人たちが「あの人ってまさにこんな感じだった」ということを想像して嫌悪して、「違うだろ、全然…ちょっと考えれば、お前たちにだってわかるはずだ。違うだろ、全然!」と憤り、「僕はただそう見せてるだけだ」と憎々し気に吐き捨てる。

ルイはずっと作り笑いを浮かべながら、誰にも理解されないという激しい感情を押し殺していた。ジャケットの裏地の暗い赤が、ルイが心に隠した色のように見える。

だから死後に「ルイって優しかったよね」みたいに言われるのを想像してうんざりする。誰かに理解されたいって願望がすごく強い。それはもしかしたら、性的マイノリティであることだけが理由ではないかもしれない。

すんごく内気な青年で、小さい時から本音を言えないまま「ルイはこうだよね」と決めつけられて育って、「そうじゃないのに」って気持ちが大きくなって、「理解されない、愛されてない」とこじれてしまったのかも。

このシーン、いつも迫力満点で大好きなのだけど、「ラガルスが来た」と感じた11/2は特にすごくて、迫力に圧倒されて、気づいたらこちらまで汗だくになっていた。舞台を観ていて初めての感覚だった。

 

12.ルイとアントワーヌ

母に言い出せなくて、ルイは兄には伝えようとした。でも、ルイが本題に入ることができずにぐだぐだしているうちに、アントワーヌはそれを拒んでしまう。いままで父親のいない家族の面倒を見てきて、「何も背負い込みたくない」という感情が爆発したのか。

よく考えたら、お母さんが思い出話をするとき「あのころは私も働いてたわ」というセリフがある。今は働いていないとすれば、アントワーヌは結婚して出て行った実家の生計まで支えている。(シュザンヌは自分でテレビやステレオを買ったと言っていたから、バイトくらいはしているのかも)

アントワーヌは工場で働いているけど、カトリーヌいわく「仕事」と呼べるものではないらしい。ブルーカラー(肉体労働者)で、きっとそんなに給料はよくないんじゃないかな。それと通ずるのかわからないけど、アントワーヌは青い服を着ている。それで自分の家族4人と実家の母と妹が暮らしていくのは、たいへんなのかもしれない。

そこに弟が深刻な話を打ち明けようとして爆発した。

「背負い込みたくない」というだけじゃなくて、アントワーヌはルイの手口についても気づいている。

あとのシーンで「ルイは流儀のように不幸を使う」と言うから、困ったときにすぐそれをアピールして母に助けを請い、自分を悪者に仕立て上げるルイの手口には気づいていると思う。

だから「体調が悪いのかなと最初は心配したけど、よく考えたらルイは不幸ぶって周りの愛情や同情を得ようとするやつだった、別に本当に不幸ってわけじゃないくせに俺に重荷を背負わせてくれるな」と全てを繋げて「でっちあげだ」と都合のいい答えを出してしまったのかなと思う。

ここのルイの静かな変化が好き。

兄の機嫌を取ろうとしているのか作り笑いでへらへらしている表情、話を聞いてくれない兄に対する焦り、もう聞いてもらえないという諦めの表情。

最後、アントワーヌが部屋を出て行く寸前は座ったまま客席に背を向けて力なくうなだれる。その顔を見てみたかった。

兄になら話せると覚悟を決めたのに拒絶されたルイが、このときは不幸のふりじゃなくて本当に絶望しているのを見て、心が痛かった。

一番、ルイをかわいそうだと思った瞬間。

 

13.ルイの夢の中

舞台上に置かれた靴と、鏡の中にいるルイがライトアップされる。

なんだかそれが、靴の場所にルイは立っているのに心が体とバラバラになってしまったような感覚だなと思った。

「どの部屋にもたどり着けない」というのは、家族の誰とも理解し合えないということだと思う。

翻訳本とはルイのセリフが変更になっている。

翻訳本では「一番ひどいのは、僕が恋をすること。一番ひどいのは、僕が少し待とうとすること。」

舞台では「一番ひどいのは、愛すること。一番ひどいのは、待ってみたくなること。」

翻訳本のセリフは自分のことを言っているように感じて、舞台のセリフは自分の家族に対する態度について言っているように感じる。

鏡の世界はルイの頭の中なので、ほかの人たちのセリフも全部ルイの考えた「この人がいいそうな言葉」ってことなんだと思う。

印象的なのはアントワーヌの言う「望ましい遠さ、ちょうどいい距離 離れてた」というセリフ。

ルイはやはりそんなに遠くには住んでいなかった。シュザンヌの言う通り「もっと頻繁に会いに来られたはず」なのだ。

それはルイが家族に思われていることであると同時に、ルイも思っていたことなんじゃないかな。

「会いに来られる距離から手紙を送っていたのに、誰も会いに来てくれなかったね」と。

だから、そんな無関心な家族を自分から愛するのはひどくむなしいことで、待ってみたくなる気持ちなんて持つんじゃなかった、ということなのかな。

「私が不幸かもしれないって?」と怒るシュザンヌに対して、アントワーヌは「あいつだよ、不幸な男は」「お前は自分が不幸だと思っている」「あいつが遠くにいたから」「でもそれが理由じゃない」「ただの辻褄合わせだ」という。

現実で、ルイはシュザンヌから「私、幸せになりたかったわ。それも兄さんと一緒に」と言われている。シュザンヌは兄がいないことが不幸で、帰ってきたことをとても喜んでいる。でも、ルイからすれば「住所知ってるんだし会いに来たければ来られただろ、僕のせいにするな」という気持ちがあって、それを夢の中でアントワーヌに代弁させているように感じた。

夢の世界でカトリーヌだけがルイと会話できるのは、カトリーヌだけがルイの手口に気付いて、ルイのことを理解できた人だからなのかな。

お母さんがルイの名前ばかり呼んでいるのに会えないのは、ルイがお母さんに自分ばかり構ってほしいけど理解はしてもらえていないという気持ちの表れなのかなと思った。

 

14.出ていく前のルイの心情

ルイは家族に「約束する。すぐにまた来る。時間をあけずに帰ってくるから」と言って回る。(「僕はうそをつく」がまた悪い顔していてイイ)

「電話するし、近況報告もする。みんなの話をちゃんと聞くようがんばってみる。心から愛を感じてるよ。」と大ウソを並べる。自分を理解してくれようとしなかった家族が、あとから絶望するように仕込んでいるみたい。

自分が出ていくと言い出したのに、アントワーヌが車で送っていくということが気に入らないらしく、「アントワーヌは僕を追い払いたいようだ」と曲解をかます。ゆがみすぎでは……

そして、せっかく死ぬことをを告げようとした覚悟を「でっちあげだ」とブチ壊された恨みもあって、「僕は口には出さず、アントワーヌの罪を告発する。僕の恨みを僕が晴らすんだ。」と言う。アントワーヌ不憫……

 

15.車で送っていく話と兄妹の喧嘩

ここでルイの仕返しが始まる。

ルイが帰ろうとするので、よかれと思ってアントワーヌは車で送ってやると提案する。

シュザンヌはまだルイに帰ってほしくないから、自分が送ると言う。

ルイは自分で帰ると言いだしたはずなのに、「もっといいのは、僕がここに泊まって…」などとシュザンヌが期待するような言葉をたくさん並べて喜ばせる。

シュザンヌは喜ぶけど、アントワーヌはルイが帰ろうとしている(と思っている)から、引き留めようとするシュザンヌを非難する。そうして2人がどんどんヒートアップして、シュザンヌはついにアントワーヌに摑みかかる。

7公演を観てきて最後に気づいた。

シュザンヌがアントワーヌに掴みかかった瞬間、2人の奥でルイが一瞬だけ笑った。

邪悪な笑みでもなく、愛想笑いでもなく、ただ一瞬、少し嬉しそうに、へらっと笑った。

私はルイがアントワーヌを悪者にしていると気づいてからずっと、2人の喧嘩を引き起こせたことでどこかでルイが笑うんじゃないかと思って見ていたんだけど、もっとあとのほうだと思っていたから、なかなか見つけられなかった。やっと見つけた。ハッと五感が鮮明になった気がした。焼きついた。

そのあとすぐに困ったような顔をして2人に割って入って喧嘩を止めようとしたり、「泣かないで」なんて近寄って白々しくアントワーヌを「落ち着かせよう」としたりする。

それで余計にアントワーヌは激昂し、シュザンヌは号泣する。

「お帰りいただけますでしょうか」と立ちはだかったカトリーヌは、ルイの算段に気づいたのかもしれない。

このあと、乱暴だと言われたアントワーヌが嘆く。

舞台では言ってなかったと思うけど、翻訳本にはアントワーヌが「疲れてたんだ」と言いながら「疲れているときは、仕事のせいだとか、いや悩み事だとか金のせいだとか思ったりする」というセリフがある。アントワーヌの仕事の話で触れたとおり、やはりブルーカラーの彼が自分の家族と実家を支えるのは金銭的に負担だったのだろうと推測できる。

必死で支えてきた人たちの中に突然ルイが帰ってきて、みんながそれを喜んで、ルイの作り笑顔に騙されて味方をする。ルイがいない間いっしょに生活してきたシュザンヌにもつらく当たられて、母親にはバカな乱暴もの扱いされて、最後の砦であったであろうカトリーヌにまで乱暴だと言われてしまう。

それで、ルイが「帰る」と言い出したのでよかれと思って車で送っていくことを提案したのに、それさえもルイの復讐の手段にされてしまって、アントワーヌが不憫で仕方がない。

ここはもう、ルイが犯人であるミステリーものを観ているような気分だった。

 

16.アントワーヌの気持ち

食卓に座って、アントワーヌとルイが対峙する。

ルイは恨みを晴らせて満足したのか、作り笑顔を浮かべながらアントワーヌの話を聞いている。

でも、アントワーヌが話し続けるにつれて、静かにどんどん表情が変化していくのがすごかった。

最初のほう、アントワーヌが「ルイが責められたときに言う言葉だ、愛されてないって」ということから、ルイはやはり昔から不幸ぶって同情を集めていたことがわかる。

でもアントワーヌからすれば、ルイは愛されていないことなんてないように見えた、という話の中で、ルイはいつもの作り笑顔をしたり表情を曇らせたりする。「全然わかってない」ということなんだろう。

ルイは愛されていないと思っていたけど、家族は目立たなくとも愛情表現をしていたことがアントワーヌから伝えられる。

家族の中でいちいち付き合いたてのカップルみたいに大げさに「愛してる!」なんて表現すること少ないと思うし、家族の愛はそれとない気遣いや思いやりで浸透しているものだと思うので、アントワーヌが言いたかったのはそういうことなのかなぁと思う。

でもルイはそれを感知できていなくて、「愛されていない」と思っていたのかな。

それでルイがいっつも不幸ぶるから、家族が「ルイのことを気にしてやらないと」と気を使っていた。

「どんな不幸も人に応対するための流儀でしかない」という言葉がここで出てくる。

最悪のタイミングだなと思った。

確かに昔からそうだったのだろうけど、今回は、ルイは本当に病気という不幸を抱えて告げに来て、拒絶されて、言い出せないまま家を出て行こうとしているのに、「お前の不幸は本当の不幸じゃない」と言われてしまう。

ルイは作り笑顔を張り付けるしかない。

だけど、ルイが不幸を武器にし続けた結果いろんなことがアントワーヌのせいにされて、ルイが出て行ったの責任も押し付けられて、アントワーヌはルイと連絡を取りながら気遣っているというパフォーマンスをしなければならなかった。18年もの間、家族を支えながら。

でも、喧嘩のシーンでアントワーヌは新聞を読んでる人を見てルイを思い出す、新聞を読もうとするというセリフがある。ちょっとルイに近づいてみたい、みたいな気持ちも感じられて、ルイのこと、本心でも気にしていたんだろうと思う。(でも知識がないので新聞は難しくて読むのをやめてしまう。弟へのコンプレックスも感じられる)

ルイがおそらく内心自分は本当に不幸なんだ、わかってないなと思っている一方で、不幸に見えなかったアントワーヌが自分のせいで不幸を背負わされていたことが語られて、でもそのあとアントワーヌは「こんなに腹が立つのにお前の身に悪いことが起こらないことを願っている」なんて言うから、ルイは意外な気持ちになったんじゃないかな。

このへんから、ルイの中にちょっとずつ「悪かった」「心配してくれてるんだ」って気持ちが生まれたんじゃないかな。

ちょっとずつちょっとずつ、ルイの表情が変わっていくんだけど、うまく言葉にできない。

ルイの愛想笑いがじわじわ溶けて、だんだんやわらかくなってくるような。

笑っていながらもその心がアントワーヌの方向を向いていなかったのに、少しずつ少しずつアントワーヌの方を見るようになったような感じ。

ん~~~~…新幹線のめっちゃくちゃ固いアイスがちょっとずつ食べれるようになるくらいのじわじわ感。(もうちょっといい例えないんか)

だから、この変化がどこで起こったかってうまく言えないんだけど、でも最後にはルイは本当にアントワーヌの気持ちを感知することができたんだと思う。

最後には、ちょっと泣きそうな表情にも見えた。作り笑顔でも、嫌な表情でもなかった。

このあと、翻訳本にないセリフが追加されていた。ニュアンスだけど…

アントワーヌが「車を出してくる」と言う。

さっきはこの提案が非難されて爆発したけど、結局やっぱり弟が帰るときに役に立ちたいというか、困るだろうから送ってやらなきゃ、っていう兄ちゃんらしい行動に至ったのかなと思う。

お母さんの「シュザンヌに言ってたのよ。ルイが忙しくて来れないなら、会いに行けばいいんだって」「いつでも帰ってきていいんだ、家族だから時には遠慮のないことも起こるけど」とか、カトリーヌの「さっきはすみませんでした。帰っていただけないかなんて。ここはあなたの家でもあるのに。どうかまたいらしてください」「知らないのは怖いことです」などのセリフも追加されていた。

温かい空気だった。

 

17.エピローグ(山奥の話とルイの後悔)

 あんなに温かい空気で締めくくったのに、ルイは結局もう実家には戻らないことに決めた。

 さっきのシーンで、アントワーヌから心配していると教えてもらって、ようやく「家族から愛されているかもしれない」と少しは思えたように見えた。

でも、ルイはそれを認めきれなかったんじゃないかな。

陸橋の話は、ルイの心の中の例え話に聞こえた。

誰もいない山奥の陸橋は、孤独なルイの心の中。

空と大地の真ん中を一人で歩くルイは、誰にも理解してもらえず心の殻に閉じこもったルイと重なる。

そして、そんな場所で「歓喜の声をあげるべきだった」っていうのは、心の中でくらい自分が愛されていると認めてもよかった、ということなんじゃないか。

誰もいない山奥で人目など気にせず、好きに叫んでもよかった。

誰にも覗かれない心の中でくらい、家族から愛されていると認めてもよかった。

そういうことがリンクしているんじゃないかなって思った。

でも結局認めなくて、「愛されていない」と頑なに思ったまま孤独に死んでいくことになる。

会いに来ていいよって言われたけど、せっかく愛情を伝えてもらったのにもうすぐ死ぬことを思うと、素直に行くこともできない。

家族からの愛情を受け取ったのに、受け取るのが不慣れすぎて、うまく掴みきれなくて取りこぼしてしまう。

それがルイの言う「後悔」なのかなと思った。

 

最後に

正直、最初は難しそうだし、楽しめるのかな…って構えていた。

でも実際は今まで知らなかった内くんの表情がたくさん見られて、新しい宝箱を開けられたような作品だった。

セリフがないときも誰かが何か伏線になるようなことをしていたりして、見逃すまいと監視するような気持ちで観ていたので、共感することはあまりなかったのだけど、とにかく仕込んできた設定を暴いてやる!ってミステリーを観るような気持ちで、気づけたときの快感がすごかった。

解釈違いの部分もあると思うけど、そこを補完するように友人とあーだこーだ話したり、ツイッターの感想をあさるのも楽しかった。

10月の初めに観てから一か月、毎日この舞台のことを考えていた。

 

出演者の方それぞれの感想を書きたい。

 

内博貴くん

16年くらい内くんのファンをやっていて、内くんのこんなに緻密で激しいお芝居を見たのは初めてじゃないかと思います。近くで観られたって要因もあるのかな…いつも同じくらいしていたら本当に申し訳ないです…

でも、「内くんってこんなにすごかったんだ!?」って驚きました。(いままでもすごいと思っていたし大好きだけど、それ以上にってこと!)

新しい扉だった。

私はこの先の内担人生で、この舞台の衝撃をずっと忘れないと思う。

「ずっと」なんて確証のないことを言うのは好きじゃないけど、でも、ずっと忘れないと思う。 

内くんのブログでも、ルイのことたくさん教えてくれたらいいなぁ~と思っています。

 

鍛治直人さん

鍛治さんがツイッターエゴサをしてどんどん反応をくださるので、感想をツイートしたり見て回ったりするのがとても楽しかったです。

最初に見たときは、アントワーヌを意地悪な人だと思ってしまったのが本当に申し訳ない!全部ルイの策略だったのに!アントワーヌ不憫!

気づいてからは、ルイが手口を使うたびに「アントワーヌに意地悪しいなや!」と思いながら観ていました。笑

全部の感想を繋げて書いて、改めて、アントワーヌは優しい兄ちゃんだったんだなと実感しました。

 

大空ゆうひさん

義理の家族に気遣って、でもルイに騙されないで夫に愛情を注ぐカトリーヌ、本当に素敵でした。

カトリーヌの心労を思うと本当にいたたまれないけど、ルイにすべきことをきちんと言って、お母さんの話をニコニコ聞いてあげて、泣きじゃくるシュザンヌを抱きとめて、激昂したアントワーヌも抱きとめて、意地悪するルイに立ちむかって、でもあとでちゃんとごめんなさいもして、とても素敵な女性でした。

 

那須佐代子さん

元気ではつらつとしたお母さん、とても好きでした。見当違いなことも言っちゃうけど、家族みんなを愛しているんだなぁと思いました。ルイの手を握るところがすごく好きだった。

お母さんは思い出話や息子・娘のことばかり話していて、自分のことはあまり話さなかったので、お母さんの気持ちも気になるなあと思っています。

 

島ゆいかさん

感情の起伏が激しいシュザンヌ、パワフルで子犬のようでストレートで、好きでした。ルイはきっとシュザンヌに歓迎してもらったこと、うれしかったと思う。

久しぶりに帰った家で、大人はみんな気を使ったり様子を窺ったりしている中、シュザンヌだけは「うれしい!」の気持ちがストレートで、ルイは救われたんじゃないでしょうか。

動きが海外ドラマの女の子っぽいのも、かわいかったです。

 

石丸さち子さん

素晴らしい舞台をありがとうございましたという、感謝の気持ちでいっぱいです。

内くんの新しい一面を観られたこと、舞台の新しい楽しみ方を知れたこと、とても嬉しいです。

ぜひまたいつか、石丸さんの演出で新しい内くんの姿を観てみたいです。

 

 

話はこれで終わり!

 

言いたいのは、なにもかも素晴らしかったし、この舞台が大好きだってこと。

 

内博貴がどんどん知らない人になっていく(11/2「まさに世界の終わり」)

もう何を書いても的外れな気がしてきた。

「まさに世界の終わり」、私は11/3が観劇最終日となった。

10/4の名古屋から一か月、毎週のようにこの舞台を観て来たけど、毎回感想がころころ変わって、もう何を書いても正解で間違いな気がしている。

 

今日観劇するまで・してから気になったことと気づいたこと。

項目別にした。

セリフは一応翻訳本を見てはいるけど、微妙に違ったりもするのでニュアンスってことで。

 

ネタバレだらけです。

 

 

 

ルイの手口

初めて観たときは、誰もルイのことを理解してあげていなくてルイがかわいそう…と思ったのだけど、回を重ねるごとに、どんだけ性格こじれてんねんと思うようになってきた。

ルイは、好き度でいうとお母さん>シュザンヌ>アントワーヌっていう感じだと思う。

お母さんやシュザンヌと話しているときのルイは表情がやわらかい。

アントワーヌが乱暴なことを言うと、いつも困ったようにアイコンタクトを取る。

お母さんに自分の死を告げようとしたのに言えなくて、アントワーヌに言おうとしたのに聞いてもらえなくて、その仕返しとして善人ぶって「アントワーヌの罪を告発する」という流れになるけど、実はルイはこの手口を序盤からずっと使っていた。

カトリーヌが子供の名前の由来の話をしようとしたとき、「なんでそんな意地悪なこと言うんだよ」「居心地が悪い」と言ってみたり、日曜日の話で席を立とうとしたアントワーヌに「どこ行くんだよ、さみしいよ」と言ってみたり。

おとなしくて気の弱い弟のふりをしながら、周りにそれとなくアントワーヌの悪印象を植え付けるのが得意。私も最初これに騙されたんだと思った。まんまとルイの手口に騙されていたんだ。

カトリーヌだけはそれを見抜いた。

「僕のことでひどい先入観を与えたんじゃないかな」というセリフ、11/2に見たときはあからさまにドヤ顔で、アントワーヌに悪印象を抱かせようとしているように見えた。

でもカトリーヌは「悪気あってのことじゃありませんよ」とアントワーヌを擁護したので、いつものやり口が通用せずに困惑したような不服そうな表情を浮かべた。

カトリーヌの「言いたいことがあるなら彼に言ったほうがいいですよ」というのは、理由はわからないけどアントワーヌを悪者にしたいほど気に入らないなら、直接言いたいことを言いなさいよ、ということなのかなと思った。

だから、アントワーヌが車で送っていくという提案をするシーンでも、ルイがわざとアントワーヌに優しくして攻撃されているように見せかけていて、母も妹もすっかり騙されてルイの味方をしているということに気付いて、カトリーヌは「おかえりいただけますでしょうか」って言ったんじゃないかな。

 

アントワーヌはなぜ話を聞いてあげなかったのか

せっかくシャンパンのところでルイの体調の異変に気付いたのに、「怖い」「しょい込みたくない」ってだけで大事な話を聞いてあげないなんて、そんなことある?って思ったのだけど、上記のルイの手口を考えたら腑に落ちた。

ルイは車で送っていくってシーンの前からずっと、おそらく家を出る前から、この手口を常習的に使っていたはず。

それをアントワーヌは思い出したんじゃないか。

それで、急に帰ってきた弟が何を真剣に話し出すのか、本当に体調が悪いのか、長男である自分がそれを先に聞かなきゃいけないのか、家族に伝えなきゃいけないのか、という気持ちが辻褄を合わせるように「体調悪いのかと思って心配したけど、昔からそうやって不幸ぶって同情を集めるようなやつだったじゃないか、何もないんだろ」という”結論”を導き出したのかなと思った。

たぶん、本当に「体調やばいのかな」と思っていたら、怖くても聞いてあげると思うんよね。

だってアントワーヌ優しいから。

ルイがカトリーヌに花を贈ったということは、アントワーヌとカトリーヌに娘が生まれたことを知ったから。

お母さんはルイがどこに住んでるのか知らないって言ってたから、きっと報告したのはアントワーヌ。

そのあと、息子にルイと名付けた話も教えている。

兄弟の間で、手紙のやりとりがあったということ。

それがもしアントワーヌの言う「お互いを見張っていた」ということに対するパフォーマンスだとしても、「新聞を読んでいる人間を見て、ルイと同じような人種だと思って俺も裏から読んでみようとするけど無理」という話でも、ふとしたときに当然のようにルイのことが頭によぎるくらいには、「あいつどうしてんのかな」って気持ちがあったんだと思う。

でも、久しぶりに会ったら昔と同じように悪者に仕立て上げられて怒って、体調悪ぶってるのも同情集めたいだけだろって思ってしまったのかな。

 

ルイの後悔

最後のセリフ「僕はきっと後悔するんだろう。こうして零れ落ちていったものを」というところ、11/2の公演は今にも消え入りそうで弱弱しくて、呆然としていて、抜け殻みたいな言い方だった。本当に大切なものを落としてしまったような。魂がなかった。からっぽだった。

私はこの「後悔」を、最初のうちは「家族に言おうとしたのに言えなかったこと」を後悔しているんだと思っていた。

でも、そう考えると文脈的に変だなと気づいた。

「後悔」のたとえ話として、「夜、山奥の陸橋で叫び声をあげたら幸福だっただろうなぁ」って内容の話が出てきたのに、「死を告げること」はどうしても幸福には結び付かない。

じゃあ、幸福って何?って考えたとき、ほんのりわかった気がした。

この場面の前の、アントワーヌがルイと向かい合って、「お前の身に何も起こらないことを願っている」というシーンでは、ルイの笑い方が今までの笑い方と全然違う気がする。音楽のせいかな。でも、本当に素直にアントワーヌの言っていることを受け止めたんじゃないかなって思った。

「あはは」「えへへ」って表面上で笑いながら「何言ってんだこいつ」って思ってそうな笑い方じゃなくて、ちゃんと笑えているように見えた。

あの場面でルイは「意外と愛されてたんだな」と感じられたんじゃないかと思う。

「空と大地の真ん中で、歓喜の声をあげるべきだった(のにしなかった)」というのは、自分がやってみたいと思ったことを実行することの例えだから、それが意味するのは「心の中で、家族に愛されているという実感をしっかりと受け止めるべきだった(のにしなかった)」ということなんじゃないかと思った。

何か反応を返すわけでもなく、ただ自分の中で「僕は家族に愛されていた」と認めること。

暗い山奥で谷をまたぐ陸橋を想像すると、暗い空間の真ん中にルイがいて、誰も人はいない。他人の目はない。そこでルイが何をしようと自由なはずなのに、叫んでみたいなと思ってもしなかった。

それはルイの心の中のたとえなのかもしれない。

自分しかいない、他人が入り込めない孤独な心の中で、「愛されていたんだ」って認めてこっそりと喜んだってよかったんだ。なのにしなかった。心の中は暗い山奥と同じように、誰の目もない自由な場所なのに。

それで、戻らないって決めて、「愛されていた」と認めることもなく死んでいく。

それがルイの言う「後悔」なのかなと思った。

死を告げないことより、残りの時間を家族と過ごさないことより、心の中でこっそりと「愛されていた、よかった」と認められなかったことが、後悔だったのかもしれない。

 

内博貴が知らない人になっていく

回を重ねるごとに、迫力が増したり、いまにも死にそうになっていたり、感情の起伏がすごく激しくて切り替わりがすさまじい。

激しく怒鳴っていたかと思えば、涼しい顔して次のセリフを喋りだしたり、家族への憎悪を大声で巻き散らかしたかと思えば、おだやかな愛想笑いを浮かべたりする。

ずっとつながった時間の中で演じているのを観ているって、忘れてしまいそうになる。

今日、観ている途中に「私はだれを観に来たんだっけ」という不思議な感覚に襲われた。

目の前にいるのが、私の好きな内博貴じゃない、全くの他人に見えた。いや、好きだけど!

いつも「内くんが〇〇役を演じている!好き!」と思いながら観ることが多いのだけど、今回は「誰?」って思う瞬間があった。「内くんってこんな人だったっけ」と思った。

ライブでファンに「あほか!」なんて言ってた楽しい内くんと完全に別人で、本当に性格の悪いひねくれたイケメンに見えた。(イケメンはイケメン)

最後のセリフも、ぼーっとした目で抜け殻のように喋っていて、見たことない顔だった。

内くんはこの舞台を苦手分野だと言っていたけど、すごいよ。すごいガッチリはまっていて、ラガルスが観たら「この人のためにこの舞台を作った!」って思ってもらえるんじゃないかな。ラガルスのことなんも知らんけど。

 

いや~~~すごかったな。すごかったんですよ。今日。

何回もため息つきながら、真顔で劇場を出た。

「なんかすごかった」しかツイートできなかった。

すごかった。本当に。

 

内博貴をいつまでもキュートな浪花のプリンスだと思っていたら大間違いだ

と、言われた気がした。

舞台「まさに世界の終わり」を、10/4に名古屋市芸術創造センター、10/19にDDD青山クロスシアターで観劇した。

 

\ 一般チケットまだ残席あります!ぜひ! /

www.stagegate.jp

 

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去年の舞台「コメディ・トゥナイト!」については「かわいいハニトー内博貴が松竹座に帰ってきた!」と大騒ぎしたけれども、今回はまるで正反対。


内くん自身も「難解」「不得意」「はげるんちゃうか」とボヤいていたけれど、私のほうも、ここまでセリフと感情をストレートに受け取るだけではない舞台を観るのは16年の内担歴の中で初めての経験だった。

私にとって内博貴は、歌声に惚れこんで担当になったアイドルだった。

中学生のころ深夜のローカル番組で歌う彼を見て、この歌声をもっと聴きたいと思ってデビューを待ち、CDを買い、無期限謹慎に泣かされ、ライブの有無に一喜一憂しながらここまできた。


正直、ストレートプレイの舞台は私が求めるものとはちょっと違っていた。

内博貴にはキラキラした衣装を着て、どまんなかで気持ちよさそうに歌っていてほしいという願望が強かった。

のびやかに甘い歌声を響かせる内博貴が大好きなんだ。

色んな役を演じる自担を楽しめるお芝居も好きけど、ライブをしてほしいという思いのほうが大きかった。

 

でも、今回の舞台ではそれを微塵も感じない。

 

ルイを生きる内博貴のこめた設定や思いを読み取りたい、それぞれの登場人物が何を考えているのか知りたい、そんな気持ちで食らいつくように観劇して、予定していたよりもチケットを増やしてしまった。

ぶっちゃけ、「楽しい!サイコー!やっぴー!」と手放しでエンジョイできる舞台ではない。

余命一年を申告されたルイが家族に告げるために実家に帰るも、なかなか言い出せない…という内容で、自担本人も「終わった瞬間、言わんのかい!って思う」と言うほどで、話の展開的には、わかりやすいものを求める私にはモヤっとするものだ。

でも、その中で「言えない」「知るのが怖い」「言わせなかったことを後悔しろ」という気持ちを含む彼らのやり取りの意図を読み取ろうとしながら観劇することはとても刺激的で、頭がいい意味ですごく疲れて、いままで経験したことのない充足感を味わえるものだった。

 


ここからネタバレも含みます。

 


ベッドの上で悪夢にうなされて何かを掴もうと飛び起きる登場のシーンでは、苦しんでいるはずなのに美しくてエロさすら感じてしまう。開始10秒で内博貴の魅力・色気が全開。

そして帰省の道のりという設定で客席をぐるりと一周する。

これはDDDのみの演出で、ただでさえ約200席の狭い会場なのにさらに内博貴がすぐ近くまで来る。いい匂いがするともっぱらの噂です。

家族の前では優し気な愛想笑いを見せるけど、本音独白のシーンでは死への恐怖と孤独に苦しんだり、自分を愛してくれない(と思っている)家族に憎悪を募らせたり、家族を操りたい(自分の死を知って悲しんでほしい)と邪悪な考えをめぐらせたり…

 

とにかく、優しい笑顔だけではなく、恐怖、悲しみ、苦しみ、怒り、憎悪、寂しさ、色気、さまざまな表情の内博貴を堪能することができる。

かわいいだけ、かっこいいだけだと思っていたら大間違い。

急に知らなかった側面が次々と現れたように感じて、内くんってこんな人だったっけ…と嬉しい戸惑いを覚えた。

こんなにも複雑な感情を目まぐるしく使い分け、表現する内博貴を見るのは初めてで、すっかりこの舞台の虜になってしまった。

「言えない」ということが主軸であるぶん、その感情に隠された気持ちまで推し量る余地があり、もしこういう設定だとしたら、こういう背景があったとしたら、と無限に思いをはせられる。

難しいとぼやく自担がここまでどれだけの努力をして膨大なセリフを覚え、役のことを考えて気持ちをこめてきたのだろうと考えるのも楽しい。

自担から、そういう話ももっと聞いてみたい。

 

しかし、そういうのを楽しみにしていた今週更新のブログの内容は一週間長いわ~というボヤキと、「秋刀魚おいしかった!スーパーの秋刀魚めっちゃ安くない!?」と鮮魚売り場の秋刀魚の写真がアップされるという庶民感あふれるもので大笑いした。

アイドルからスーパーの魚写真を見せられるとは思わなかった。

夫かよ。

ていうか写真なら自撮り載せてくれよ。


アフタートークの回では役が憑依してしまったように暗くて消耗していた様子で「内博貴が帰ってきてない」という印象を受けたほどで、私もルイが暗く苦悩する姿を自担に重ねてしまっていたのだけど、ブログは相変わらずで、内博貴健在だなぁと思った。

 

 

この舞台についての考察(と呼べるか怪しいけど)はこちらの記事をご覧ください。

pink8er-hana.hatenablog.com

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10/19「まさに世界の終わり」東京公演とアフタートーク

観劇前に、フォロワーさんと念願の「松竹大谷図書館」へ行きました。

公益財団法人松竹大谷図書館

舞台の写真やプログラム、台本、関連雑誌などがたくさん所蔵されています。

普段は見られないような舞台の写真もたくさん見られて、懐かしくて、本当に楽しかった!!

とくに、公演中の舞台をシーンごとに撮影した全体像の写真が20~30枚ほどあって、チャプター再生のメニュー画面みたいで、当時の思い出がよみがえってきて、本当に楽しかったです!

 

そして、初めてのDDD青山クロスシアターへ!

初めての小劇場で最前列、しかもアフタートークも目の前で、こんなに近くで素の内くんを何分も見られるのも初めてで、とても贅沢な体験でした……もうこんなラッキーはなかなか起こらないかもしれない……

 

 

ネタバレあります。

 

 

順序良く語れないから、項目ごとに書く。

 

 

 

ルイの設定について

今回は、ルイが同性愛者かもしれないという視点で観た。

髪をなでつけるように耳にかける仕草も、内股で座っているのも、そうなのかなと思った。なんかくねくねしてるなぁと。

(でも内くんライブで歌うときもよく内股になったり、くねくねしたりしてるからどうなんだろうな~…)

カトリーヌとアントワーヌの子供に「ルイ」と名付けたという話のとき、自分の名前を二人が選んでくれたことに最初は笑顔を浮かべているのだけど、「あなたには子供がいないから」「アントワーヌが、あなたは子供を作らないだろうっていうんです」と言われた瞬間から、ルイの視線が泳いで落ち着かなくなって、すごく動揺する。

名古屋でもその動揺には気づいたけど、近くの席だともっと視線がきょろきょろ動いているのまで見えた。

鏡のシーンのセリフでも「一番ひどいのは、僕が恋をすること」とある。

(って翻訳本にあるけど、舞台でもあったよね、たぶん…脳みそが追い付かない…)

 

アントワーヌが異変に気付く

今回気づいて一番ビビッと来たのは、日曜日のドライブの話をするシーン。

みんながシャンパンを飲んでいる中、ルイだけがグラスに手を付けずに水しか飲んでいない。

母のグラスが空になってアントワーヌが注ぎにいったとき、ほかの人たちにも注いで上げようとするんだけど(日本だと嫁の役割である場合が多いのでフランス的だなと思った)、ルイのシャンパンが少しも減っていないのを見て、ルイの顔を見て、怪訝そうな表情を浮かべる。

無言なのに「こいつ全然飲んでないじゃないか」というセリフが聞こえてくるほどだった。

きっとこのとき、アントワーヌはルイの体調が悪いことを察知したんじゃないだろうか。

体調が悪いならお酒は飲まないだろうから。

これはルイも手を付けないでおく必要があるので、きっと正式な約束事なんだと思う。

 

これに気づいてから、アントワーヌの見方が変わった。

ルイが話そうとしてなかなか言い出せずいるときに「そういうお前のぐだぐだ話が嫌いなんだ」とか「お前は思い付きで帰ってきただけだ」とか「なんでお前がここにいるのか知りたくもない」といったセリフを吐くのを、ルイの心情も知らずに嫌なヤツだ!と思っていたのだけど、シャンパンのくだりが最後の「聞きたくない、怖いんだ」というセリフへの伏線だったように思えた。

 

ルイの仕返し

さきほどの、アントワーヌに病気のことを言おうとしたのに、「お前は思い付きで帰ってきただけだ」「聞きたくない」というセリフのあと、アントワーヌがルイを車で送っていくというシーンに入る前、ルイが心の内を話すセリフで「アントワーヌは僕を追い払いたいようだ」「口には出さないけど、僕はそのことでアントワーヌをあえて非難する」という。

このあとルイはアントワーヌに優しく接するので、何が非難なんだだろうと思っていたのだけど、今回見て、底意地の悪さがじわりと来ました。

このあと、よかれと思ってルイを送り届けようとしたアントワーヌと、ルイにまだ帰ってほしくないシュザンヌが喧嘩になる。

そこに優しいツラして火に油を注ぎまくるルイ。

「もっといいのは僕がここに泊まって、一晩過ごして…」とシュザンヌが望むようなことを言って、喜ぶシュザンヌに対してアントワーヌが「送るって言ってるんだ」と怒る。そこからどんどん喧嘩が大きくなって、取っ組み合いになる。

アントワーヌを ”落ち着かせようとして” ルイが優しく触れると、アントワーヌは「触るな!」とさらに激昂する。

もう、どっかでルイが笑みでもこぼすんちゃうかなと思って見ていた。その瞬間を見てやろうとすら思っていた。

こうしてどんどんアントワーヌを悪者に仕立て上げて、「ルイがかわいそう」と思わせることが、話を聞こうとしなかったアントワーヌへの非難なのかなと思った。

でも、アントワーヌは、急に帰ってきたことや、お酒に手を付けていないことに気付いたことから、ルイに対して気遣う気持ちは本当にあったんだろうと思ったし、このあともルイを「子供のときより心配になる」と言う。

子供のころから「愛されていない」が口癖のルイに対して感じていた遠慮や「愛さなければいけない」という義務感。

突然いなくなったルイを心配しなければいけない。

だって家族だから。

でもそういう義務感だけじゃなくて、本当に心配する気持ちもあるよって言いたかったんだと思うけど、もうルイはニコニコと話を聞いているだけだった。

私はそれを和解だと思って微笑ましく見ていたのだけど、アフタートークでの那須さんのお話によるとこれは愛想笑いだったようで、ルイはもう心を閉ざしてしまっていたらしい。

それをふまえて振り返ると、ルイって本当に外面と本心がバラバラだなと思った。

 

母の愛はルイにとって愛なのか

どうしても、内担だからルイの味方をしながら見てしまう。

お母さんは「あんたたちのことはなんでも知ってる」と得意げにわかったように話すけど、同じセリフの流れで「あんたがどこに住んでるのか知らないけど」って言うのが、すごく奇妙に思えた。

ルイが帰ってきたときカトリーヌとは初対面なのに、カトリーヌは「お花を送ってくれましたよね」って言って、名付けについてのシーンでは「(娘の)写真を送りましたよね」って言うの。

きっと出産祝いでお花をもらって、その返事として写真を送ったのかな。

そしたら、娘が8歳ってことなので、18年留守にしているけどカトリーヌは8年前にはルイの住所を知っていたことがわかる。

だから、「どこに住んでいるのかわからない」なんて、わからないはずがないんだよね。

もし、出て行ってから実家に送り続けていた短い手紙には居所がバレないように住所を書いていなくて10年も居所がわからなかったとしても、8年前には絶対に住所がわかったってことでしょ。わかった瞬間に会いにいったりしないのかなって。

ルイのセリフに「僕が望んでいるからって僕をいつも置き去りにした」「僕をそっとしておいて、僕など気にかけていないふりをすることが、僕をさらに愛することだって思いたいからなんだ」というセリフがあるのも、こういうところから来ているんじゃないかと思った。

母は、ルイが住んでいるところはわかるけど、ルイは放っておいてほしいだろうから会いに行かないというのが愛だと思っていて、住所も気にかけないようにしている。

でもルイは「それを愛だと思ってるんだろうが違うぞ、俺は愛されてない!」って思っていた。

ほな自分から会いにいけよ面倒くさいやっちゃなって思うけど、内担としては、やっぱりルイの味方をしながら見てしまうな。

それでいて母は「あんたたちのことはよくわかってる!」というスタンスだから、余計にルイは「いやいやわかってないし…」って思ってしまうのかもしれない。

 

最後のセリフの変更

最後のセリフが変更になっていた。

名古屋では「僕が残念に思うことになるのは、こんな感じで忘れていくことさ」という翻訳本と同じかそれに近いセリフだったんだけど、東京では「後悔」とか「取りこぼす」とかが入ったセリフに代わっていて、「えっ、これで終わり?」と思っていたら終わってしまった。

名古屋の前に本を読んでいたから、名古屋では「あ、これ最後のセリフだ」と思ったので、間違いではないと思う…

「~さ」っていう言い方がすごく好きだったので残念だけど、「後悔」しているという気持ちが伝わりにくくて変えたのかなと思った。

 

シュザンヌの祝砲

シュザンヌが「祝砲!ドーン!」ってルイに撃つ真似をしたとき、ルイが戸惑ったような沈黙のあと「……? うっ(><)」って撃たれた真似をするのがSo cuteでした。

(でもこれも、そうするとシュザンヌが喜ぶだろうっていう計算してのものなのかな…)

 

 アフタートーク

順序もたぶんバラバラだし言葉はニュアンスですが、内容だけでも覚書ってことで。

登壇は石丸さち子さん、内くん、那須佐代子さん、鍛治直人さんの4人。

内くんは黒のジャージに黒のクロックスという、完全リラックススタイル。

自己紹介も「うちひろきで~す」とダラーンな感じで、もうちょっとしっかりしてや!ほかのファンの人もおるで!って感じなのだけど、よくよく見てたらまだ内博貴に戻ってない感じで、すごく暗くてドヨーンとしていて、内くん早く帰ってきて~!って思った。

石丸さんにも「普段は気のいい大阪の兄ちゃんなんですけど」と言われていて、本人も「スイッチのオンオフが難しくて、終わってからも引きずる」ということでした。

そのあと、話したり笑ったりしているうちに、だんだん内博貴が戻ってくる様子が目に見えて、「よかった、内くん帰ってきた」って感じた。

 

内くんのスイッチの話

「内くんは普段明るいけど、どうやってスイッチを切り替えてるの?」という問いには、ベッドに寝て出てくるところから切り替わっているとのことでした。終わってからが切り替わりにくいとのこと。

 最近しょっちゅう追いかけられる夢ばっかり見ているそうで、「最初うなされて起きるじゃないですか。ほんまあんな感じで起きる」「病気なりそう」「最終日まで、病気ならんようにがんばります」と言っていました。

本当に、出てきた瞬間が内パラでファンのことおちょくったり、楽しそうに歌ってた内くんとかけ離れていて、ズドンと来てる、スイッチが切り替わらない、というのを実感しました。

でも、開演前は鍛治さんと楽しくお話しているらしい。

二人は同じ楽屋で、2公演の日は「おはようございまーす!」「夜イチがんばりましょ!」と挨拶しなおしてマチネをなかったことにするらしい。それを5回くらいやって、「これいつまでやります?」ってなる。「でも体は正直」と内くん。

 

おばけちゃん

内くん「兵庫の二日目が一公演しかないのにめっちゃ疲れた。ラガルスが見に来た!劇場っておばけちゃんがいるじゃないですか?俺昔から霊感っていうか六感があるんですよ。(鍛治さんに、今日は何人いる?と聞かれて)今日はいませんね」

この見出しをつけたかっただけです。

 

内くんとルイについて

石丸さんの「内くんはいいとこの家の子だと思うけど、屈折してるルイのことどう思う?」と問いに、内くんは「わかんないっすね!最初、『メッセンジャーになって!』って決めて家族に言いにいくけど、やっぱり言えないじゃないですか。内家だったら、最初のモノローグ10分喋って、ピンポーン押して、おお博貴ひさしぶりどうしたん~ってなって、俺来年死ぬねん~、まじか~!、暗転、おわり!内家だったら5秒で終わります。1日10公演ぐらいできますね。」

 「ラガルスと友達になれそう?」という質問には、「なれませんね!よくもこんなん作ってくれたなと!」(敬意を!払って!笑)

また、「普段人と話してる時って全部はしっかり聞いてないと思うんだけど、家族と話してるシーンではきちんと聞いてるの?」という石丸さんの問いに、「ちゃんと聞いてますよ」と内くん。「だから聞いててズドンってくるし、お母さんと話してるシーンでもいつ言おうと思いながら聞いてるけど、やっぱりお母さんには言えないなって思う。で、お兄ちゃんに言おうと思うんだけど、お兄ちゃんにも突き放れて、やっぱり言えなくて…」(この話どう終わったか忘れた…)(自担)

那須さんはこのルイの流れについて、「せっかく言おうと決めて来たのに結局だれにも言えなくて、心を閉ざしちゃって、最後に家族みんなでテーブルにいるシーンでアントワーヌの言うことをずっとルイが作り笑顔で聞いているのを見ると心が痛い。でもお母さんはルイが死ぬことを知らないから、帰ってきたときはうまくいくかもって期待して、でもやっぱり心を開いてくれないなって思って、もしかしたらまた今度来てくれて今度は心を開いてもらえるかな、と思ってる」とのことでした。

そして、みんなルイが死ぬことを知らないから、それを知ったあとが悲惨だよね、というお話もありました。

 

那須さんの役作りについて

「再会したときの反応が日によって微妙に違うけれど、どんなふうに演じているのか」というお話。

「入ってきたときのルイの表情にもよるし、日によって違う。お母さんだから、もちろん嬉しいけどアントワーヌやシュザンヌのことも考える。あんまり喜んだらアントワーヌはいい気がしないだろうから、出さないようにもする。」

「18年も会ってないってことは14歳くらいで記憶が止まっているから、こんなに綺麗に成長した息子がいきなり帰ってきたらドキドキするのかな?お母さんだからドキドキしないかな?どんな気持ちになるかなと思って、内くんがそれくらいの時の写真をネットで探して、デビュー当時とかの画像をスマホに入れて見てます」(内「なにやってんすか」と恥ずかしそう)

あのギャルな内くんの写真が那須さんのスマホに…と考えたらすごく面白い。

ちなみに、初めましてのときは綺麗な顔でどきどきしたそうです。笑

 

鍛治さんについて

舞台中は乱暴だしルイに向かって嫌なこと言うし話も聞いてあげないから、アントワーヌは怖い人だと思っていたのだけど、登壇のときに鍛治さんが窓から入ってこようとしているのを見て、ご本人はおもしろい人だ!とわかって安心しました。笑

内くんのこと「博貴」って呼んでて、仲の良さが伝わってきた~!

この舞台のあと、アントワーヌとカトリーヌはルイを送り届けて、「あ…じゃあ」と気まずい感じで別れるだろうけど、そのあと車内でカトリーヌに平謝りだと思う、とのことでした。笑

あと、お友達が観に来られたときに「アントワーヌが一番まともだよね」とおっしゃっていたそうです。

そうなのかな…私は口数が少ないから、あんなにルイにも家族にも怒鳴りちらかすアントワーヌは怖いと思うし、なんでそんなこと言うのって思うことが多い。

一家を仕切っていかないといけない男の人から見たら、また見え方が違うのかも。

石丸さんはカトリーヌをフランス人女性らしい強い女だと思っていて、きっと将来アントワーヌは捨てられて、若い男とくっついて、強く生きていく。『カトリーヌ』というスピンオフをしたい、というお話もあり、「アントワーヌかわいそう」と鍛治さん。

 

 

ラガルスの話 

ラガルス自身も自動車工業の盛んな町に育って、家族もその仕事で恩恵を受けていたというお話もありました。家庭環境も、実際のラガルスのものと劇中のものと、重なっているようす。てことで、病気もやはり重ねて考えてよいのかな…と思いました。

 

 

あとは11月に観劇の予定です。

ひとつマチソワ連続の日を作れたので、1日2公演の疲労感も体験できるのが楽しみ。(演じる側の比ではないに決まってるけど)

 

 

当日券も出ているようなので、気になる方はぜひ! 

www.stagegate.jp

 

 

 

前回、名古屋公演を観劇したときの記事。

pink8er-hana.hatenablog.com

『ナイツ・テイル』を観劇しました

激戦の中、ありがたいことに8月、9月、10月と合計3回観劇できたのですが、セリフが難しいのと神話にうといのとで話についていくのに精いっぱいで、ようやく細かいことにまで目を向けられるようになったのでやっとブログを書くことにしました。

広瀬さんが出演しているんですー!

 

  

本作が記念すべき帝劇デビューとのことでどうしても行きたかった帝劇、観に行くことができて本当によかった!

そして9月20日のお誕生日公演も入ることができてよかったです。

 

 

ここからネタバレします。

 

お話は、序盤は難しいセリフと真剣なシーンで正直しんどそうだな…と思ったのだけど、進むにつれて笑いをさそうセリフもたくさん出てきて、ハッピーエンドで、楽しかったー!と終わることができました。よかった。

 

光一くんはSHOCK以外でお目にかかるのは初めてで、とても不思議な感じがしました。

ジャニーズウェブに登録しているので、光一くんのブログを読んでお勉強させていただきました。

「ジョンは魔法使い」と言われている所以がわかってよかった。

 

井上芳雄さんは歌声がすごく綺麗でパワフルで、すごかったなぁ。

ジャニーズ以外はほとんどミュージカルや舞台を観に行くことがないので、本職の方ってすごいんだ!!と驚きました。

(ジャニーズを下げているわけではなくて、違うジャンルには違うジャンルのすばらしさがあるんだなぁってことね。)

 

音月桂さんと島田歌穂さんは、強い女性って感じでとてもかっこよかった。ヒポリタ、捕らえられて妻にされたのに悲壮感がまったく無くて、めちゃくちゃカッコイイ。

 

そして、上白石萌音ちゃん、とにかくめちゃくちゃかわいい~~!!!

ガツンとパワーのある声量ってわけではないのですが、透き通ったような可憐な歌声で、とてもかわいかったです。大好き!

ホクサイと飯さえあれば』のドラマが好きで毎週録画して見ていたのですが、ごはんを作るときの幸せそう~~な表情がすごく好きで、偶然にも初めて生でお目にかかれて、本当にうれしかった。

フラビーナが加わる森のダンスのシーンでは、萌音ちゃんと広瀬さんがダンスのペアになったので、とても私得でした!!!

パンがアイコンタクトをとりながら、たどたどしく踊るフラビーナにダンスを教える様子が、とても微笑ましかったです。

最後に倒れそうなフラビーナを持ち上げるところでは、パンの表情から「あと少し頑張って!」というセリフが聞こえてきそうでした。

 

広瀬さんの役名のパンは、ギリシャ神話の登場人物で、牧羊神だそうです。

(調べてみて、そうなのかな?と思ってリプライ送ったら、そうですよ!と答えてくださった。改めて、SNSで出演者の方にコメントを送ることができるこの時代すごいと思う…)

だからツノが生えてたり、モフモフの衣装なんだな~。

その衣装がかわいくて一番好き!

神話の登場人物の名前がたくさん出てくるのだけど、大学時代、倫理の授業で神話をやってたけどさっぱりわからなくて単位を落としてしまった私は、エンタメを存分に楽しむためには、やはり教養って必要なんだな…と痛感しました。

 

3回目にしてようやく気付いた広瀬さんの細かいお芝居の話をすると、冒頭のアーサイトとパラモンが捕虜にされてしまうシーン。

闘いの末に倒れた二人を殺そうとシーシアスの部下(?)たちが刀を構えるのだけど、「生かして捕虜にする」とのセリフにみんなが「えっ?」となったあと、広瀬さんが近くに倒れている人の足を触るんです。

なんかそれが、「仲間がやられたのに殺さないのか」と言っているように見えた。

 

あと、ダンスでエミーリアから誰が冠をもらうかというシーンでは、アーサイトのダンスの上手さに「すごいやつが来たぞー!」って顔をしてたり、エミーリアと踊る順番が回ってくるのをソワソワわくわく待ってたり、冠がもらえなくてすみっこでいじけていたり、広瀬さんの表情がクルクル変わって楽しかったです。

 

2月に広瀬さんが『ナイツ・テイル』に出演するって決まったのを職場で知った瞬間、本当に嬉しいのとチケットを取れるかどうかが不安すぎて、震える手でコーヒー飲んで自分を落ち着かせたのを覚えているのですが笑、こうして絶対に入りたい公演に入ることができて本当によかったです。

 

残りの公演もわずかとなってしまいましたが、これから『ナイツ・テイル』に行かれる方、ぜひ広瀬さんの豊かな表情と細かい演技に注目してください~!!楽しいよ!