これは厄介だっていう説もあるけど

すきなものについて雑多に語るブログです

怪盗キッドのソロコンサートという集団幻覚(5/21文学フリマ東京などに出ます)


「ジャニーズJr.の怪盗キッド東京ドームシティホールでやったソロコンサートの話をしよう」

 Twitterのスペース機能で初めて言葉を交わした人から、こんな提案を受けた。

 スペース機能というのはオンラインでの通話機能で、Twitterのアカウントを持っている者同士であれば、フォロワーでもそうでなくとも、気軽に話したり聞いたりすることができるサービスのこと。

 私はたまにこの機能を使って友人と話をしており、そこへ偶然居合わせた友人の友人が、この話を持ち出したのです。

 彼女の名は、たえちゃん。ここではその手腕に敬意を表して、たえPと呼ばせていただく。プロデューサーのPである。 

 おそらく大半の人にとっては意味不明な文脈だと思う。

 何しろ怪盗キッドはジャニーズJr.ではないし、ソロコンサートなんてしないし、ましてや「やった」って過去形なの、何? そう思うでしょう。

 私は間髪を入れずに返事をした。

「うっわ、最高……」

 もう見た気でいる。

 私たちはすぐさま「怪盗キッドのサマパラについて話すスペース」を改めて設けることにした。ちなみにサマパラとは、ジャニーズJr.が夏に東京ドームシティホール(以下TDC)で行うコンサートのことである。

 このスペースは30~50人ほどが視聴し、たえPや私の匿名メッセージサービスを介してたくさんの候補曲や演出案が届いた。LINEで私に案を送って来る友人まで現れ、私たちは短期間のうちに「怪盗キッドのサマパラ」という集団幻覚を、かなりの精度で生み出した。

 ロゴもデザインし、チケットまで作りあげ、TDCの外観を加工して現場の写真までも捏造した。本気で幻覚を見にかかった。

 しかし、あまりにも多くの案が飛び交い、オープニングの話をしたと思ったらアンコールの話など、目まぐるしく話題が変化していったため、順序だててその中身を書き記すことは難しい。

 そういうわけで、ここからは話しながら記録したセットリストや案を元に、実際のライブレポよろしくその内容を紹介することにする。

 

 さあ、ショーの始まりだぜ!

 

 ♧

 

 8月某日。私と友人のたえPは、TDCの前にいた。今日は東都ドームシティホールで行われる、怪盗キッドの記念すべき初ソロコンサートである。

 タイトルは『真夏(ミッドサマー)の楽園』で、1日2公演×3日間。ちなみに別の日程では工藤新一のサマパラも開催される。

 

※この画像はフィクションです

 

 私たちはグッズを買うために列へ並んだ。グッズの内容は以下の通り。

 ・アクリルスタンド2種(マントを翻したポーズと、ハンググライダー

 ・ペンライト(ダイヤモンド型)

 ・ショッピングバッグ(トランプ柄。肩部分には鳩のマスコットがついている)

 ・フードタオル(マント風)

 ・フォトセット

 ・マスキングテープ(WANTED柄)

 着席し、開演を待つ。しばらくすると照明が落とされ、会場は暗闇に包まれた。

 スポットライトがヘリのサーチライトのように、ぐるぐると忙しなく会場を照らす。警報装置の音やパトカーのサイレンが物々しい雰囲気を醸し出す中、メインモニターには逃走中の怪盗キッドの映像が流れた。

 そして、「Ladies and Gentlemen!」の掛け声とともに、ステージにキッドが登場。

 一曲目はSexy Zoneの『カラクリだらけのテンダネス』だ。イントロのフィンガースナップがかっこよすぎる。続いてHey! Say! JUMPの『群青ランナウェイ』、嵐の『マスカレード』と来て、軽く挨拶。

「今宵あなたの心をいただきに参りました、怪盗キッドです。よろしくお願いします」

 そして、実は開演前、変装してグッズ列に並ぶファンを堂々と眺めていたなどというので驚き。全然気づかなかった。

 続いての曲は少年隊の『まいったネ、今夜』。嵐のデビューコンサートで、白スーツでタップダンスしている映像が大好きだったので嬉しい。そして『Secret Agent Man』もよく似合う! 怪盗キッドは少年隊と相性が抜群。

 Hey! Say! JUMPの『RELOAD』から、関ジャニ∞の『YES』へ。キッド様が関ジャニ∞を歌うのは不思議な感じがするけど、『YES』は良すぎる。

 中島健人の『CANDY ~CAN U be my BABY~』では「LOVE!KENTY!」のコールが自然に「LOVE!KID!」と揃い、おたくの一体感がすごい。

 MCでは少しお話ししつつ、「暑いね~」とマントをバサバサ。確かに暑そう。モノクルを少し外した瞬間、TDCが割れるほど沸いた。

 MC後、スクリーンには映像が。暗い森に佇む洋館に雷が落ち、仮面を付けて黒い衣装に身を包んだジャニーズJr.がわらわらと登場し、物々しい雰囲気に。

「I just can not tell…」という歌い出しで舞台に現れたのは、今までの白い衣装とは一転、真っ黒なスーツにマントにシルクハットの怪盗キッド。真っ黒だけどラメが入っててかっこよすぎる~! これまた関ジャニ∞の曲『Dye D?』ですが、毛色の違うグループなのに自分にぴったりの曲を持ってくるセンスがすごすぎるな……。

 次は中島健人の『Black Cinderella』でブラック続き。最高か? 尊敬する先輩はケンティーらしいです。

 そしてHey! Say! JUMPの『狼青年』も。「窓辺に映る嘘、月」とか「罪も罰も白々しい」とかぴったりで天才。

 ダークなコーナーがひと段落したかと思えば、さっきまでメインステージにいたキッドが、黒羽快斗として一瞬で三階バルコニー席に出現! 曲は中島健人の『Teleportation』で、ここで本当のテレポーテーションマジックを入れてくる演出は彼にしか不可能ですね……。

 ここからは黒羽快斗コーナーで、SixTONESの『この星のHIKARI』やSexy Zoneの『Easy come! Easy go! Easy love!』と明るめのかわいい曲が続く。キッドではカッコよくキメておいて、快斗ではポップさを全面に出して来るのがいい。これこそジャニーズ。

 そしてHey! Say! JUMPの『我 I Need You』好きすぎる~!

「だってタネシカケどこにもありません」とスタンドマイクで歌いながら、鳩やら万国旗やらポンポン出して来る黒羽快斗、エンターテイナーの極み。「解明できない恋はショータイム」です、本当にありがとう。

 しかも女装でチキンバスケッツの『私のオキテ』まで! 変装もお手の物だからなんでもできる、天才。早替えとかいうレベルじゃない。

 曲が終わり、スクリーンでは女装快子の楽屋風映像が流れる。これはキャンジャニ∞でも見た定番の演出。

「では次の曲に参りましょう~!イッツ、ショータイム!」で、再び怪盗キッドの姿で登場!

 曲は中山優馬の『Hustler』。この曲、初めて聴いたけどめっちゃかっこいいな……!

 Hey! Say! JUMPの『BANGER NIGHT』へ続くのも良かった。「迷わず叩き潰す Banger night」がいいよな、キッドもパンドラ見つけてぶっ潰すって言ってたし……。

 ラストは、SMAPの『真夏の脱獄者』で、本当に「最高の夏に文句はないね」って感じだった。サマパラの締めくくりとして相応しい曲。「最高の夏へばっくれようよ」ってぴったりにも程があるし、「Bye Bye」でステージの奈落に消えていくところまで抜かりなくかっこよかったです。

 そして客席にひらひら落ちてきたのは、キッドの予告状。

「今宵あなたの心をいただきました。怪盗キッド」と書かれており、挨拶の伏線回収に卒倒。

 予告現場にも負けないくらいのキッドコールが起こり、アンコールではSixTONESの『Strawberry Breakfast』でめちゃくちゃキザに登場したかと思えば、TOKIOの『LOVE YOU ONLY』で楽しく終幕!

「カッコいい」も「かわいい」も「楽しい」も詰まりまくっていて、本当に最高の現場だった……。

 終演後、TDCの前には落下物を求めて「予告状ください」と立っているファンがたくさんいた。

 

 ♧

 

 以上、全て「ないソロコン」の話でございました。

 書いているうちに本当に見た気分になってきた。キッドのソロコン、私、行ったことあると思う。

 ちなみに挨拶の言葉と予告状の演出、オープニングの『カラクリだらけのテンダネス』、ラストの『真夏の脱獄者』はたえPのこだわりです。これで「私、怪盗キッドのことあまり知らないんだけどさ」と言うのだからすごい。めちゃくちゃ知ってるだろ。

 黒い衣装のキッドについては、これまた「コナンの解像度そんなにないねんけど」いう友人から出てきたネタでした。白い衣装のイメージが強すぎてそんな発想全然なかったから「天才か!?」となったし、そこに『Dye D?』を合わせてくるセンスに脱帽。こんなん、ジャニーズの怪盗キッドは確実にやってくれます。

 

 ちなみに「工藤新一のサマパラ」の話もあったんです。音痴にはいったん目を瞑ろう。

 せっかくなので候補曲を紹介します。こちらはほとんど人から案をもらった気がする。

 

 ・ひとりじゃない(KinKi Kids

 ・KissからはじまるミステリーKinKi Kids

 ・ウィークエンダーHey! Say! JUMP

 ・ミステリーヴァージン(山田涼介)

 ・Ride With Me(Hey! Say! JUMP

 ・The Answer(なにわ男子)

 どうしてもミステリー系に偏るため、「もはや金田一コンやねん!」となった。『ウィークエンダー』は帝丹高校の制服、というところまでは決まった。土曜夜のアニメだしぴったりだな。

 

 ・Find The Answer(嵐)

 ・truth(嵐)

 ・迷宮ラブソング(嵐)

 やはりミステリーものの主題歌に偏りがち。

 

 ・勇気100%(Sexy Zone

 ・好きだよ(佐藤勝利

 少年探偵団とのコラボ曲としてかわいい曲も挙がりました。

 

 ・僕が僕じゃないみたいだ(SixTONES

 人から来てすごく気に入った案。確かに新一(コナン)は僕が僕じゃない。

 

 ・イエローパンジーストリート関ジャニ∞

 歌詞の「君と僕をつないだ線がどんな色だって」が、劇場版『時計仕掛けの摩天楼』の爆弾のコードにまつわるエピソードとリンクして良い。

 

 ・キミへのキャロル(関ジャニ∞

 ・Sorry Sorry love(関ジャニ∞

 クリスマスに遅刻したり、事件にかまけてバースデーコールを忘れてしまう新一、ありそう。

 

 ・Black of night(関ジャニ∞

 コナンのOP曲っぽいのでやってほしい。これは自分で挙げた。

 

 ・Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~(嵐)

 こちらも私の好み。怪盗キッドを追う曲としてなにとぞお願いします。

 

 ・EJ☆コースター(関ジャニ∞

 ジェットコースターがモチーフの愉快な曲なんですが、コナンの1話がジェットコースター殺人事件だから挙げられたのかと考えると、「レッツエンジョイ」している場合ではなくておもしろい。(確か匿名で届いた案なので、真意はわからない)

 

 そのほか、他の方から挙げていただいた候補曲。

 ・LOVE CHASE(山下智久

 ・I'll be there(嵐)

 ・Daylight(嵐)

 ・君だけを逃がさない(なにわ男子)

 ・誰にも解けないミステリー(Sexy Zone

 ・純情恋花火(関ジャニ∞

 ・LOVE YOU ONLY(TOKIO

 ・内容のない手紙(NEWS)

 ・セピア(SixTONES

 

 さて、曲はこれだけ集まった。

 集まったのに、私とたえPはどうも怪盗キッドのサマパラのような精度で幻覚を見られずにいた。

 エンターテイナーである月下の奇術師は、ショービジネスとの相性があまりにも良すぎたのだ。

 しかし、普通の高校生探偵(普通とは?)である工藤新一が、ジャニーズのコンサートをやっている様子は思い描きにくかった。

 私とたえPはどちらともなく「新一のセトリ……組めなくない……?」と力尽き、諦めることとなった。

 ただ、MC中に「よぉ工藤! やっとるか!」と乱入してくる服部平次。そして、MC後に「では次の曲に……」「キャァァァ!!」で殺人事件が起こり、「出入口を全て封鎖してください! これで犯人は袋のネズミだ……犯人はこのTDCホールの中にいます」とコンサートを中断する展開だけは、鮮明に思い描くことができたのだった。

 

 ※募集※

 この機会をいいことに、怪盗キッド・工藤新一っぽい曲を随時募集しております。

 ジャニーズでもジャニーズ以外でも、思い当たる曲がありましたらぜひ教えてください。

marshmallow-qa.com

 

 

 

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5/21(日)の『文学フリマ東京36』に出店できることになりました!

 

サークル名:前向きエスケープ

・開催    2023年5月21日(日)
・時間    12:00〜17:00
・入場料    無料

東京流通センター 第一展示場・第二展示場Fホール

bunfree.net

 

ブース番号などの詳細はまだ出ていないので、日が近づいたら改めて告知します。

 

このイベントで、前回の無職エッセイ『華のお暇』に引き続き、転職してから今までに遊んだことや楽しかったことをつづったエッセイ『華の休日』を出そうと、書いている最中です。

 

その中で、今回の内容も載せています。

試し読みだと思っていただければ。

 

・一部、編集中に加筆修正・変更はする予定。

文学フリマには既刊『華のお暇』+新刊『華の休日』を持ち込みます。

・前回と同様、通販も予定しています。

 

ほかの出店予定

5/21 文学フリマ東京
5/28 COMIC CITY大阪(日常ジャンル)
9/10 文学フリマ大阪
10/22 文学フリマ福岡
※ところどころで通販します。